研究概要 |
平成15年度,以下の研究(1)(2)を行った. (1)リアルタイム分散型グループウェアDigitalEE 2.0の開発 DigitalEE 2.0を開発し,実参加者(自然環境)と仮想参加者(遠隔地)がマルチメディアコミュニケーション(高写実・仮想空間,音声,動画)によって実時間協調活動を行うことを可能とした.また,現実世界と仮想世界における相互の行動理解に必要なアウェアネス情報の共有の問題を,分散仮想環境技術,テレポインタ技術,ストリーミング動画配信技術などの開発によって解決した.参加者の協調活動のログ化機能も実現した. (2)DigitalEE 2.0の評価実験と,拡張電子社会の設計指針の明確化 京都大学上賀茂試験地においてDigitalEE 2.0を用い、被験者に対する評価実験を行った.本実験により、DigitalEE 2.0のシステム性能やユーザビリティが概ね良好であることを検証した.また,本システムが現実世界と仮想世界における協調的な環境学習行動の獲得に貢献したことを確認した.本実験は,実参加者と仮想参加者に対して環境教育の第1段階の重要目標(環境への関心・気付きなどの向上)の達成を可能としたことを示し,拡張電子社会(現実世界と仮想世界が融合された未来社会)における新形態の教育の有効性を証明した.また,両世界における情報格差が両参加者からその格差補完への欲求を引き出し,両者の相互作用を促進したことがわかり,拡張電子社会の設計指針の一つとして,現実経験と仮想経験の情報格差を適切に制御することが重要であることを発見した.
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