今年度前半は、熱音響効果を用いて、熱エネルギーを音エネルギーに変換するレイケ管を製作した。また、後半には熱エネルギーを音エネルギーに変換し、その音エネルギーを熱エネルギーに再変換することによって冷却を行うループ管を製作した。 レイケ管にっいては、数種類のレイケ管を製作することによって、熱エネルギーを効率的に音エネルギーに変換する方法について検討した。検討の結果、単位時間あたりに一定以上の熱エネルギーを供給することによって、効率的にエネルギー変換が行われることを発見した。 ループ管については、ステンレス製とアクリル製のループ管の試作を行った。 ステンレスループ管を用いて管内の作業流体の圧力、作業流体の混合比を検討することによって、冷却部の温度低下を観測した。作業流体をヘリウムとアルゴンの混合流体とし、管内圧力を大気圧より1気圧加圧したとき、室温から-15℃までの温度低下に成功した。 アクリルループ管では、ループ管内に発生する音波について検討を行った。発生音波は管長を1波長となるような周波数で発振し、その周波数の高調波を含むことがわかった。この結果より、冷却部側のスタックの設置位置を詳細に検討することによって、より高い冷却効果が期待できる。発生音波の音圧は、160dBを越えるような高音圧となっていた。また、ループ管内の数地点における作業流体の温度測定を行うことにより、管内に冷却効率を低下させるような熱流が発生していることが確認された。この結果より、熱エネルギー供給側の熱交換器を改良する必要性を認識した。 現在は、これまでの実験、考察結果より得られた知見をもとに熱音響冷却システムであるループ管の改良を行い、特性の評価を行っている。
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