研究概要 |
惑星間ダストは46億年前、急速に温度・ガス濃度環境が変化する原始太陽系星雲ガスから凝縮したと考えられている。この惑星間ダストが形成される際の原始太陽系星雲の温度、ガス濃度変化の時間スケールを明らかにするために、急冷され高過飽和状態となった蒸発ガスから凝縮する微粒子の核形成速度を求めた。 干渉計によって得られた高温メルト周辺のガス屈折率分布の画像データを解析した結果、蒸発開始から5秒-10秒の間に2度、メルト-ガス界面近傍に平衡蒸気圧の40-60倍もの高密度領域が形成される事が分かった。この結果は高温メルトから蒸発したガスからの凝縮微粒子核形成に伴う、ガス密度増加によるものであると考えられる。 さらに、核形成速度に要する時間を明らかにするために、凝縮微粒子の核形成順序を調べた。惑星間ダストのうち、最も多く見られる重要な鉱物であるMgO-SiO_2系の鉱物は、化学平衡に基づいた研究によって、高温で安定なんForsteriteが最初に凝縮し、Enstatite, Silicaへと続くとこれまで考えられてきた。しかし本研究によって、高過飽和状態から凝縮する微粒子の核形成順序はこの予想されてきた凝縮順序とは異なり、SiO_2アモルファスがまず核形成し、Enstatite, Forsteriteの核形成が続くということが分かった。 このことは惑星間ダストの粒子組み合わせを調べることで、原始太陽系星雲ガスの冷却速度に制約を与えることが出来ることを意味する。 本年は先に述べた凝縮微粒子の核形成順序について結晶成長学会において報告を行い、干渉計によって明らかになった蒸発メルト界面近傍における高密度領域の形成について、鉱物学会において報告を行った。
|