過去2年間に引き続いて、今年度も、病院や福祉施設における経営を、ナレッジ・マネジメントの視点から分析する研究をおこなった。また、ソーシャルワーカーなどの福祉プロフェッショナルの知識に関する研究・実践活動を並行させた。その結果次の成果を論文として発表することができた。 「介護施設における接遇モデルに関する一提案(介護施設管理誌)」では、介護施設において、社会福祉士や介護福祉士といった福祉プロフェッショナルが、どのようにサービス利用者との関係を構築すれば良いのかに関して、既存の知見を整理し、実践の礎になり得る理論的モデルを提言した。 「医療・福祉のナレッジ・マネジメント-特別医療法人財団董仙会のケース・スタディ-(ユニベール財団調査研究報告書)」では、特別医療法人財団董仙会という医療福祉複合体の経営改革に焦点をあてたケース・スタディから、病院や福祉施設におけるナレッジ・マネジメントの実態を分析し、サービスの向上に役立つ知識の創造過程を理論的モデルとして提示し、いくつかの実務的な提言をおこなった。 「知識創造としての情報システム開発(日本医療経済学会会報)」では、特別医療法人財団董仙会という医療福祉複合体における情報システムの開発・導入に焦点をあてたケース・スタディから、病院や福祉施設の情報化プロセスのあり方を説明する理論的モデルと、実践に向けたいくつかの示唆を提示した。 「実習指導者養成システムの構築に向けたアクション・リサーチ-ソーシャルワークの暗黙知を形式知化する試みとして-(金城大学紀要)」では、金城大学ならびに石川県内ソーシャルワーク実務者4団体との共同アクション・リサーチとして、過去3年間にわたって実施してきたソーシャルワーカーを養成するための仕組みづくりの実践をとりまとめ、一連の活動からもたらされた成果と今後の課題を統計的な分析により評価した。
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