研究概要 |
最近の研究から、マクロファージや樹状細胞の異常な活性化がこれらの炎症性疾患において重要であることが明らかにされてきた。特に菌体成分によるToll-like-receptor (TLR)の活性化がtriggerとなることが明らかにされている。TLRのシグナルはNF-kBの活性化を主体とするセリンスレオニンのリン酸化カスケードより成り立つ。一方TLRのシグナル系とJAK/STATを中心としたサイトカインシグナル系には密接なクロストークが存在し、互いに複雑に制御されている。サイトカインによってTLRシグナルは制御されるがその分子機構は不明である。我々はマクロファージ様M1細胞を用いてリポ多糖(LPS)+インターフェロン(IFN)_γで誘導される分子をマイクロアレイ解析で探索した.これらの中でTRAF6結合モチーフを有するFLN29に着目した.FLN29は腹腔マクロファージやマクロファージ用株細胞でIFNγないしIFNβ処理後にmRNAおよびタンパク質の発現上昇が見られた.しかしIL4やIL10では発現誘導は観察されなかった.NF_βレポーターアッセイの結果,FLN29はTLRシグナルを抑制することがわかった.FLN29は分子中央付近でTRAF6のTRAFドメインもしくはcoiled-coilドメインと結合し,293細胞でMyD88、TRIFおよびTRAF6依存的なNF_Bの活性化を抑制した.またRAW細胞のRNAiを用いたノックダウン細胞でLPS刺激時のI_B_リン酸化とTNF_産生亢進が確認された.FLN29はTLRシグナルの負のフィードバック調節因子あるいはIFNβの抗炎症作用を担う分子と考えられる.
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