研究概要 |
我々はこれまでにほ乳動物で報告のなかったFZOのホモログをラットにおいて同定し、これが酵母とは異なり2つのアイソフォーム(Mitofusin1,Mitofusin2)が存在すること、そしてその後の解析から哺乳動物において2つのMfnアイソフオームは共にmit融合に必須であり、協調的にmit形態の調節に機能することが明らかとなった。さらにこの2つが機能分担しており、それが細胞により異なる発現調節を受けることによりmitの形態が調節されていることが示唆する結果を得ていた。今年度は2つのmitofusinの複合体の解析を進めた結果、以下の事柄が明らかになった。 (1)膜タンパク質の複合体の解析に有効なBlue Native PAGEとゲルろ過クロマトグラフィ、およびショ糖密度勾配遠心を用いた結果、mitofusinがサイズの大きな複合体を形成することがわかった。 (2)Mitofusin同士の物理的相互作用を解析するため共免疫沈殿実験を行ったところ、Hela細胞に同時に発現させたmitofusinは各々Mitofusin1同士、mitofusin2同士のホモオリゴマー、および1と2のヘテロオリゴマーを形成することが分かった。各々のオリゴマー間でのオリゴマー形成効率に差はみられなかった。 (3)さらにMitofusinはGTPaseであるのでこのオリゴマ-形成にGTP, GTPγs, GDP,などの添加による効果がみられるか解析したが変化はみられなかった。 (4)オリゴマー形成に必要なドメインの同定を行うためmitofusinのGTPase変異体や様々なドメインの欠失変異体を用いて共免疫沈降実験を行った。その結果GTPaseドメインはオリゴマー形成には必須でなく、C末端の膜結合領域とその前後のcoiled-coilドメイン1つがオリゴマー形成に必要な最小領域であることが明らかとなった。 (5)複合体に含まれるmitofusinと協調的に機能する新規因子の探索を行った。ここには具体的には記さないが様々な出発材料を用い、様々な分離・精製手段を組み合わせて精製手段の検討をまずおこなった。そのうちの一つであるリコンビナントmitofusin1タンパクカラムによるアフィニティ精製でひとつ新規因子の同定ができた。これをmitofusin binding protein(MIB)と呼ぶ。現在この因子の解析をはじめたところである。
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