北海道日高と長野県八ヶ岳に由来する個体間の交配後代の連鎖解析を行うためにマイクロサテライトマーカーの遺伝子型の収集を行った。予備的に1家系の96個体のデーターで分離分析を行ったところ41個のマイクロサテライトマーカーのうち12個のマーカーの分離比が5%水準で期待分離比からずれていた。分離比が期待値からずれていたマーカーの割合は北海道の日高に由来する個体同士の交配後代よりも少なかった。 八ヶ岳に生育するサクラソウの60個体の9遺伝子座についてマイクロサテライト遺伝子型を決定した。一遺伝子座あたりの対立遺伝子の数は4-13個、ヘテロ接合度の期待値は0.269-0.838であった。ハーディ・ワインベルク平衡からずれている遺伝子座はなかった。2つの遺伝子座は5%水準で連鎖不平衡を示した。 QTL解析を行うために形態の測定を行った。測定した形態は展葉フェノロジーと花の形質である。展葉フェノロジーの測定は低温室(4℃)で2-3ヶ月間休眠させた個体をポットに植えて人工気象器に設置し測定を開始した。花の形態測定はデジタルカメラを用いて花を撮影して計測した。撮影した画像から柱頭高(柱頭の高さ)、柱頭長(柱頭を横から見たときの厚み)、筒長(筒部の長さ)、葯高(葯の先端の高さ)、葯長(葯の長さ)を測定した。 野外でQTL解析を行うためにサクラソウのクローン繁殖する性質を利用してクローンの増殖を行った。6号鉢に家系の各個体(2000鉢分)を移植した。培地は黒土:川砂:腐葉土=1:1:2となるように混合した。
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