研究概要 |
平成15年度の研究計画として掲げたのは,「社会的共通資本のマクロ分析」を行うにあたっての基礎的研究基盤の整備である.理論研究としては,主に2つの方向性で研究に取り組んできた。1つは,健康資本蓄積を考慮したマクロ動学モデルの開発であり,これについては幸いにも,"Tax Financed Government Health Expenditureand Growth with Capital Deepening Externality"と題してEconomics Bulletin誌に掲載された。いま1つは,社会的共通資本の中でも環境知識資本の役割に注目した研究を進めており,その萌芽は現段階で、一橋大学大学院経済学研究科のディスカッションペーパーとしてまとめられている沖論文は海外の査読付学術雑誌に投稿するため現在改訂中である。 次に実証研究では,平成16年度以降に使用する,教育データ,医療データを含んだパネルデータセットの構築を集中的に進めてきた。また,従来から行ってきた人的資本蓄積と経済成長の実証分析の関連で,平成15年度は,主に人的資本形成に関する問題に取り組んできた。やや具体的に述べるならば,各国における経済発展段階の違いに応じて,発展のために必要とされる知識のタイプが変化するか否かを実証的に検証する論文である。この成果は「人的資本形成と教育政策と題した論文にまとめられ,現在国内の査読付学術雑誌に投稿中である。 本年度は,当初企図していた研究基盤の整備がある程度予定通りに進んだと思われる。来年度も研究計画に沿って主に政策的観点にウェイトを置いた研究を行っていく予定である。
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