研究概要 |
今年度、赤外顕微分光およびラマン分光を用いてβ2-ミクログロブリンのアミロイド線維の構造を明らかにするため、蛋白質から切り出した#21-29,#21-31,および#20-41という3種類のフラグメントのアミロイド線維に関する研究を行っている。これまでにこれら3種類の線維の構造に関して、詳細な知見を得ている。まず#21-29フラグメントのアミロイド線維は、SS結合で結びつけられた2枚のβシートからなり、βシートは逆平行積層であること、9残基中8残基程度がβシート構造であることを明らかにした。#21-31フラグメントのアミロイド線維はSS結合で結びつけられた2枚のβシートからなり、βシートは平行積層であること、11残基中6残基程度がβシート構造であることを明らかにした。また#20-41フラグメントのアミロイド線維はSS結合で結びつけられた2枚のβシートからなり、βシートは平行積層であること、22残基中13残基程度がβシート構造であることを明らかにした。明らかにした構造をもとに、天然構造に見られる側鎖間相互作用のうち疎水性(芳香族間・脂肪族間)相互作用はフィブリル中でも有効であること、電気的(荷電側鎖間)相互作用は必ずしも有効ではないことを見いだした。この知見は蛋白質フィブリル構造を解明する際の一つの手がかりとなる。
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