研究概要 |
目的:現在多くの自己免疫性眼疾患に対して必ずしも再発を抑制することはできず、眼発作の再発・遷延化はしばしば失明の原因となる。げっ歯類の実験的自己免疫性網膜ぶどう膜炎(EAU)はヒト内因性ぶどう膜炎の動物モデルであるが、ヒトと異なり自然に再発することはない。この機序をさらに検討することにより、自己免疫疾患の再発予防につながる成果を得たい。 実験方法:研究計画書に記載した通り、生体内で制御性T細胞が誘導される時期とその特徴、誘導条件を検討した。B10.RIII(H-2^r)、C57BL/6(H-2^b)、またはアルファメラノサイト刺激ホルモン(α-MSH)受容体の一つであるメラノコルチン5受容体のノックアウトマウス(MC5rKO, H-2^b)を視細胞間レチノイド結合蛋白(IRBP)ペプチドで免疫してEAUを誘導した。その後脾臓細胞を回収し、同系のEAU感受性マウスに養子移入することにより、以下の結果を得た。 1 EAUから回復したマウス脾臓細胞を養子移入することにより、同系マウスのEAUは軽症化した。 2 制御性T細胞出現は免疫後21日以降であった。これはEAUがピークから回復へ向かう時期である。 3 本細胞集団はCD4(+)CD25(+)であり、ナイーブマウス、および免疫直後のマウスにはみられない。 4 免疫前に眼球を摘出することにより、本細胞は誘導されなくなった。 5 MC5rKOマウスでは制御性T細胞は誘導されず、容易にEAUが再発した。 本細胞はぶどう膜炎再発抵抗性に関与しており、その誘導には標的器官である眼、眼炎症と α-MSHの受容体が必須であろと考えられる。
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