1.疫学研究における身体活動量を定量評価可能な標準的な評価方法の検討 (1)質問紙の妥当性の検討:開発した質問紙(JALSPAQ)は、1日の総消費エネルギー量(TEE)や活動種類別に消費エネルギー量(EE)が算出可能である。妥当性の検討は、男性65名、女性206名を分析対象とし、24時間活動記録(以下24HD)を基準に実施した。JALSPAQおよび24HDによるTEEはそれぞれ男性が32.9±4.9、37.5±6.3、女性が35.1±4.6、39.2±4.6(kcal/kg/day)であり、相関係数は、男性がr=0.36、女性がr=0.38であった。活動種類別の相関係数は、男女それぞれ睡眠がr=0.49、r=0.61、仕事がr=0.77、r=0.73、移動がr=0.19、r=0.22、家事がr=0.53、r=0.45、運動がr=0.44、r=0.53、余暇がr=0.33、r=0.27であった。TEEの比較では、24HDとの間に差がみられたが、相関による検討では、欧米で使用される同種の質問紙の検討結果と同程度もしくはそれ以上の結果であった。特に活動種類別で検討が可能な点は同種の質問紙にはない特徴といえる。 (2)疫学研究における加速度計の運用方法の検討:4秒ごとの強度値をメモリー可能な加速度計を大学生250名に使用し、運動実施時の活動強度値データを調査した。次年度以降は、活動の連続性を判別するアルゴリズムを検討し、強度、連続時間(1回あたり実施時間)、頻度(週当たり実施回数等)の各変数で評価可能にする。 2.地域で実施されている短期健康増進プログラムの効果、費用の両側面からの評価 プログラム内容の準備、調整等に時間を要し、本年度中の実施およびその評価は困難であったが、行動変容科学を取り入れたプログラム、評価方法の準備は既に終えている。上記1で妥当性の評価を行った調査ツールや身体活動増加を目的とした教育ツールを組み入れたプログラムを次年度から展開する予定である。
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