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2003 年度 実績報告書

生体システムにおける心臓および神経細胞群の動力学

研究課題

研究課題/領域番号 03J10367
研究機関東京大学

研究代表者

清野 健  東京大学, 大学院・教育学研究科, 特別研究員(PD)

キーワード心拍変動 / 長時間相関 / 臨界ゆらぎ / カオス
研究概要

甲殻十脚類心拍変動の時系列の解析を行った。主に心拍時間間隔ゆらぎの相関を調べた。その結果、変動に長時間相関があることが見いだされた。心拍変動の長時間相関は、主に健常人心拍の特徴として知られているが、本研究により、心拍変動の長時間相関は、生物に広く共通した特性であることが示唆された。
健常人心拍変動の解析を行った。これまでに,心拍変動,乱流の速度場のダイナミクスの類似性と,カスケード過程に基づくモデル化の可能性が示唆されていた。本研究では,そのような類似性を検証するために,時間スケールの粗視化にともなう心拍変動の確率密度関数の変化を調べた。解析したデータは,自由行動(日常活動)下と身体活動を制限した条件(27時間長座位,覚醒状態)のものである。解析の結果,心拍変動には行動要因とは無関係と考えられる以下の特徴が見出された。1)心拍時間間隔の差の確率密度関数は,数千拍程度の粗視化スケール以下で裾の厚い構造を持つ。2)確率密度関数は,これまでに提案されているLevyの安定分布よりも,Castaingらによって提案された乱流のモデルの分布に近い。3)異なる粗視化スケールにおける分布が似ている。ランダム・カスケード・モデルでは,粗視化スケールの増加とともに確率密度関数はしだいにガウス分布に近づくが,心拍ゆらぎでは,粗視化スケールが変化しても,確率密度関数の形状にほとんど変化が見られなかった。3)の結果は,これまで知られていなかった普遍的な特徴が心拍ゆらぎにあることを示唆している。本研究により心拍変動と臨界ゆらぎとの類似性が示された。
水滴落下系カオスの研究を行った。これまでに心拍変動と水滴落下時間間隔の不規則ゆらぎの類似性が示唆されている。本研究では、系のポテンシャル構造を解析することで、水滴落下時間間隔の不規則性を生むメカニズムを解明した。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] 清野 健, 大橋 恭子, 青柳 直子, 山本 義春: "統計物理的にみた心拍変動"循環制御. 24. 207-214 (2003)

  • [文献書誌] K.Kiyono, T.Katsuyama, T.Masunaga, N.Fuchikami: "Picture of the low-dimensional structure in chaotic dripping faucet"Phys.Lett.A. 320. 47-52 (2003)

  • [文献書誌] 清野 健, 大橋恭子, 青柳直子, 山本義春: "長期心拍変動の解剖"第18回生体・生理工学シンポジウム論文集. 159-162 (2003)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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