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2004 年度 実績報告書

生体システムにおける心臓および神経細胞群の動力学

研究課題

研究課題/領域番号 03J10367
研究機関東京大学

研究代表者

清野 健  東京大学, 大学院・教育学研究科, 日本学術振興会特別研究員

キーワード心拍変動 / 強相関ゆらぎ / 臨界現象 / 長時間相関 / ランダムウォーク / 非ガウス過程 / フラクタル / 相転移
研究概要

ガウス分布に従わない確率過程を特徴付ける新たな解析法を開発した。この解析法はランダムウォークの理論を応用したものであり、祖視化スケール毎に増分の確率密度関数がどのように変形するかを調べている。また、実際に推定された確率密度関数を定量的に特徴付けるために、乱流のモデルとして導入されていた確率分布関数を仮定し、その関数に含まれるパラメタ値を推定した。
上記の方法を使い健常人の心拍変動データを解析した。その結果、日中(覚醒時)の健常人心拍変動の確率密度関数には祖視化スケールによらない不変性があることが見出された。そのようなスケール不変性は、睡眠中や持久的な運動中には消失することも明らかになった。過去の研究では心拍変動と乱流のモデルとの類似性が示唆されていた。しかし、本研究の結果は、メカニズムに関してそのような類似性はなく、むしろ、臨界現象との類似性があることを示唆した。
確率密度関数だけでは特徴付けられない間欠的なゆらぎを調べるために、局所分散の相関を調べる方法を開発した。この解析法では、特定のスケールにおける局所分散だけではなく、異なるスケール間における局所分散の相関も調べられる。心拍変動を解析した結果、日中(覚醒時)の健常人の心拍ゆらぎにのみ局所分散の強い相関がみられた。異なるスケール間についても局所分散には長時間の相関があった。睡眠中や持久的な運動中にはそのような相関の性質は有意に小さくなっていた。また、心疾患のある被験者の心拍ゆらぎについても局所分散の相関は有意に小さくなっていた。
本研究では、健常人の日中の心拍変動には特徴的なスケールが存在せず、各スケール間に非常に強い相関が見られることを示した。このことから、相転移や臨界現象の理論が心拍変動のメカニズムの解明にも役立つ可能性が示唆された。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2004

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] Critical scale-invariance in healthy human heart rate2004

    • 著者名/発表者名
      K.Kiyono, Z.R.Struzik, N.Aoyagi, S.Sakata, I.Hayano, Y.Yamamoto
    • 雑誌名

      Physical Review Letters 93

      ページ: 178103

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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