高温使用条件下における熱遮蔽コーティング(TBC)中の損傷発生のメカニズム、特に高温下での損傷発生やその累積の過程を明らかにすることを目的として、以下に述べる、(1)Maxwell方程式時間領域有限要素法による較正曲線の妥当性の検証、(2)高温型損傷評価装置の開発、(3)高温熱サイクル条件下でのTBC損傷評価、を行った。 (1)Maxwell方程式時間領域有限要素法による較正曲線の妥当性の検証 Maxwell方程式時間領域有限要素法を用いて、トップコート(TC)中の損傷およびTC層/TGO層界面の剥離によるミクロな光散乱シミュレーションを行った。その結果と、実験から得られた較正曲線の比較を行い、時間パラメータによる損傷評価手法の正確性・妥当性を検討した。 (2)高温型損傷評価装置の開発 1200℃の高温実使用条件下においてコーティング試料を保持し、光反射を測定可能な高温型損傷評価装置の作製を行った。入射光源としてピコ秒パルスおよび連続光レーザーを、反射光受光部として高時間分解サンプリングオシロスコープおよび干渉型位相測定装置を、それぞれ切り替えることができ、反射光の経路の遅れおよび位相の変化を測定できる改良を行った。 (3)高温熱サイクル条件下でのTBC損傷評価 (2)の高温型損傷評価装置中にTBC試験片を保持し、保持温度及び保持温度を変化させてTBC中の損傷状態を変化させた。高温熱サイクル下において反射光を測定を行い、時間パラメータを用いて実使用条件下でのTBC中損傷評価を行った。
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