原始陽系星雲内における難揮発性包有物の生成過程に関する実験的研究

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 03J10423
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 高橋 睦美 (小松 睦美) 東京大学, 総合研究博物館, 特別研究員(PD)
• キーワード: 惑星物質科学 / 隕石 / コンドライト / 難揮発性包有物

研究概要

アメーボイド・オリビン・アグリゲイツ(AOA)とは、主に細粒のカンラン石と、難揮発性包有物からなる集合体であり、原始太陽系進化の初期の段階で生成されたと考えられているが、詳細な成環境は良くわかっていない。本研究では、AOAの鉱物学的特徴を調べると同時に、生成状況を明らかにするために、AOAに存在する鉱物をスターティングマテリアルとした加熱実験を行った。
AOAは、難揮発性ノジュールを中心としたconcentricな組織を持ち、コアからリムに向かって、±(Al, Ti-ディオプサイド+スピネル)→アノーサイト→Al-ディオプサイド→カンラン石という鉱物層序を持つ。AOAには2種類のAl-ディオプサイドが存在する。Tiに富むAl, Ti-ディオプサイドはスピネルと一緒にコア部分に含まれるのに対し、Al-ディオプサイドはアノーサイトの外側にリムを形成しており、2つが別の起源を持つことを示唆している。また、加熱実験の結果、カンラン石とアノーサイトの反応によりAl-ディオプサイドが形成されることがわかった。さらにAOAに含まれるAl-ディオプサイドと比較したところ、実験で得られたものとAOAのAl-ディオプサイドは、類似した組成を持つことから、AOAは凝縮後加熱を経験し、Al-ディオプサイドが形成された可能性があることが示唆された。
これらの研究結果を、Meteoritical Society Meeting、月惑星シンポジウム、Goldschmidt Conference、Antarctic Meteorite Research Symposium、35th Lunar and Planetary Science Conferenceにて発表を行った。

研究成果

• [文献書誌] Komatsu., Miyamoto M., Mikouchi T., Krot A.N., Keil K.: "Thermal History of Amoeboid Olivine Aggregates : An Experimental Study."Evolution of Solar System Materials : A New Perspective from Antarctic Meteorites. 58-59 (2003)
• [文献書誌] Komatsu M., Miyamoto M., Krot A.N., Keil K.: "EBSD Study of Amoeboid Olivine Aggregates in the Y81020 CO3.0 Chondrite"Meteoritics & Planetary Science. Vol.38. 5136 (2003)
• [文献書誌] Komatsu., Miyamoto M., Mikouchi T., Krot A.N., Keil K.: "Experimental Study of Amoeboid Olivine Aggregates."Proceedings of the ISAS Lunar and Planetary Science Symposium. Vol.36. 45-48 (2003)
• [文献書誌] Komatsu M., Miyamoto M., Kogure T., Krot A.N., Keil K: "The Application of EBSD to the Study of Amoeboid Olivine Aggregates"Geochimica Cosmochimica Acta. Vol.67.No.18s. A229 (2003)
• [文献書誌] Komatsu M., Krot A.N., Mikouchi T., Tagai T., Miyamoto M., Keil K.: "Amoeboid Olivine Aggregates in the NWA 760 CV3 Chondrite"Proceedings of the 35th Lunar and Planetary Science Conference. (CD-ROM). 1537 (2004)