研究概要 |
本年度の研究において現場型微生物遺伝子解析装置,特にその中でも遺伝子解析に必要不可欠な反応操作であるPCR(Polymerase Chain Reaction)を行う部分について,主にマイクロ加工技術を応用しながら研究開発を行った.その結果,実際に深海などの極限環境の現場でも十分に用いることが可能なほど小型・軽量且つ省電力な装置の開発に成功した.遺伝子の増幅効率に関しても,適当な材料表面処理法の確立等によって向上することが出来た.またその開発の過程でマイクロ加工技術を応用して製作した装置の現場応用に必要なノウハウを多く得ることが出来た.さらに所属研究室の所有する高圧実験水槽システムを用いて実際に30MPa(水深3000m相当)の高圧力条件下でPCRが可能であることを確認することが出来た.この様に高圧力下でPCRの様な複雑な生化学反応操作が可能であることを示した研究は極めて希である.また,装置の制御系に関しても小型の制御コンピュータを導入することによって現場で遺伝子解析装置を稼働させることの出来るシステムも構成することが出来た.これによって現場で微生物の遺伝子解析を行うための基盤技術が一通り確立したといえ,最終的に現場遺伝子解析を行うための装置のプロトタイプを完成することが出来た. 以上の研究成果について,スイス及びアメリカで開催された国際会議においてそれぞれ発表を行い同時に,海外研究者と有意義な意見交換を行うことが出来た.尚,これらの発表に関してはそれぞれの会議の予稿集に掲載され,また海外論文誌においても掲載が決定している.また,研究の方針について特に海洋科学技術センターと連絡を取りながら継続して進行中である.
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