回転の効果を含めた軸対称の白色矮星モデルの構造計算と、それを元にした質量降着に伴う進化の計算を引き続き行い、剛体回転を回転則として与えた場合最終的な白色矮星の質量にIa型超新星の明るさを左右するほどの大きな差は得られないことを示し、Astrophysical Journalより出版された。その後回転則についての仮定を外し、降着円盤から持ち込まれる角運動量がどのように白色矮星内で再分配されるのかという問題について時間的変動をシミュレーシヨンすべくコードの改良を続行している。 2003年はHamuyらが、超新星2002icにおいて今までIa型超新星には無いとされていた水素輝線の存在を報告し、Ia型超新星の研究において大きな転回点となった。これはIa型超新星の持つ多様性を議論する上でも非常に重大な報告である。星周物質とIa型超新星との相互作用を議論すべく、流体力学計算を行い、光度曲線を説明するためには非球対称的な星周物質分布が必要であることを明らかにした。その結果を元に愛媛大学で行われた2003年度日本天文学会秋期年会において「水素輝線を示すIa型超新星SN2002icの星周物質相互作用モデル」という演題で口頭発表を行った。またメキシコラパスで開催されたIAUコロキウム194「Compact Binaries in the Galaxy and Beyond」においては「A circumstellar interaction model for SN2002ic」と題したポスター発表を行った。
|