研究課題
本年度は、放線菌Streptomyces griseusにおけるA-ファクター制御カスケードの起点である、A-ファクターの生合成機構についての研究を中心に行った。まず、A-ファクター生合成変異株のスクリーニングをA-ファクターによる形質(形態分化)を指標にUV変異株10,000株より行ったが、これまで生合成酵素をコードする遺伝子と予想されているafsA領域以外には生合成に関与する変異を取得することができなかった。afsA単一の遺伝子破壊株を作製すると確かにA-ファクター欠損変異株となることを確認した。そこでいまだに不明のままであるAfsA蛋白質の機能解明を目的として大腸菌における発現の検討を行い、発現に成功した。AfsAを発現した大腸菌の培養上清にはA-ファクター活性があることをA-ファクター欠損株(afsA遺伝子破壊株)を用いたバイオアッセイおよび機器分析により確認、解析した。現在、精製したAfsA蛋白質および生合成予想経路に基づいた基質を用いてin vitro反応を行うことにより、A-ファクター生合成におけるAfsA蛋白質の寄与を明らかにしようと詳細に検討を行っているところである。また、昨年度に行ったカスケードの中心的転写活性化因子AdpAの自己抑制機構、放線菌S.coelicolor A3(2)におけるSSIファミリープロテアーゼ阻害蛋白質の解析について論文にまとめ発表した。昨年度から続けているS.griseusのSSIファミリープロテアーゼ阻害蛋白質SgiAについても解析を続けた。SgiAはAdpAによる直接的転写活性化により発現がおこるという、A-ファクターによる制御を証明し、さらに大腸菌により発現、精製したSgiAの添加により放線菌の分化が遅れるという、形態分化への寄与についてもほぼ明らかにしており、現在論文投稿準備中である。
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Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry 69・8
ページ: 1624-1629
Journal of Molecular Biology 350・1
ページ: 12-26