昨年四月には、国際連合大学においてバンコク・マニラのランドスケープ計画に関するそれまでの研究成果を発表するとともに、東南アジア各国から参加した都市計画実務家と意見交換をはかった。 六月には、京都・立命館大学において、ハーバード大学のスタイニジツ教授等によるセミナーに参加し、最先端の地理情報システム技術を習得した。また、同月に神戸大学にて農村計画に関する国際シンポジウムに参加し、特にアジア都市縁辺部の地域計画を専門とする研究者と情報交換をはかった。 夏季には、フィリピン・メトロマニラ郊外に位置するマリキナ市において、一ヶ月弱、フィリピン大学の現地研究者等と共同で現地調査を実施した。具体的には、土地所有サイズ・開発形態・地形条件・都市緑地に関して、地区レベルでの詳細な調査を行った。独創的な点としては、緑地の質として、都市樹木種・バイオマスに関する調査も行ったことである。こうした生態学的・ランドスケープ的視点での現地調査は、東南アジア各国において、まだほとんど行われておらず、先進的な報告として評価されうると考えている。実際、マリキナ市長以下当局者の関心も極めて高く、調査の全面的な協力を得ることができ、論文形式として早急に結果報告をすることが求められている。 秋季から冬季にかけては、スイス連邦工科大学・チューリヒに短期研究員として滞在し、地域計画研究グループのメンバー等と情報交換を行うとともに、アジア都市の特徴を、その他の大陸における研究成果と比較照合を通じて、さらに明確化することができた。 その後、これまでの成果を数本の論文として現在まとめている。本年度は特に国際舞台で通用しうる英語力・プレゼン能力・現地調査能力を体得したことにも大きな意味がある。
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