研究概要 |
アフリカツメガエル胚において、新規に単離した遺伝子dullardの作用機構を解析するため、アニマルキャップアッセイを行った。その結果、この因子が関わっているシグナル伝達経路を特定することができた。また、dullard mRNAの過剰発現、dullard特異的アンチセンスモルフォリノオリゴヌクレオチドを用いた翻訳阻害、ドミナントネガティブフォームのdullardの過剰発現などが全胚に及ぼす初期遺伝子発現への影響をwhole mount in situ hybridization法を行い確認した。現在、さらに詳細な作用機構を調査中である。 さらに腎臓形成における役割を解明するため、予定腎臓領域にアンチセンスモルフォリノオリゴヌクレオチドを微量注入した胚を抗体染色したどころ前腎導管の形成異常が確認された。この異常がdullardを特異的に阻害した結果であることはレスキュー実験を行い確認した。さらにその際の前腎特異的遺伝子の発現の変化をwhole mount in situ hybridization法を行い確認した。その結果、dullardを翻訳阻害しても前腎においてXlim1,pax2,pax8などの初期マーカー遺伝子の発現には影響を及ぼしておらず、比較的後期の分化段階において影響を及ぼしていることが明らかになった。しかし、dullardの翻訳阻害の結果、筋肉の分化にも影響を与えていることが分かったので、今後これらの周辺組織が及ぼす前腎分化への影響も検討していく予定である。
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