研究概要 |
本研究の目的は,市街地などの各地点における到来波を,リアルタイムで推定するシステムの構築である.先行研究において,T字型アレーアンテナによる到来波推定システムを提案し,その推定精度についてシミュレーション及び実験により検討し,本提案システムが有効であることを確認した.本年度は更なる検討のために,屋外で実験を行った. 電波暗室内の実験では,送受信アンテナなどの位置が既知であるため,正確に到来方向を特定でき,その結果と実験結果を比較することにより,本提案手法を評価できた.しかし,屋外では送信源である基地局の位置が既知であっても,マルチパスの影響により正確に到来方向を特定することができず,提案手法を評価できない.そこで,基礎的検討のために,平面アレーアンテナを用いて屋外実験を行った. また,現在までの検討では,到来波全てが無変調の正弦波,または同一シンボルにより変調された電波であることを仮定していた.このため,実際にサービスされている移動通信システムの到来波推定は行えなかった.そこで,CDMAシステムのパイロット信号を逆拡散し,そのデータを用いることで,T字型アレーアンテナのデータから仮想的に平面アレーアンテナで受信したデータを合成することにより,到来波推定を行う方法を提案した.さらに,新しく提案した手法を評価するために,シミュレーション及び屋外実験を行った.また,屋外実験では平面アレーアンテナの結果と比較することにより評価した. 以上の結果は,2004年8月に行われる国際会議(International Symposium on Antennas and Propagation)に投稿した.
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