知識再利用のための回路設計データベースのための基盤技術として、知識としての設計データを再利用するために、蓄積された回路設計データをその再利用の設計技術に適合させるための基盤技術の研究を行った。 1970年代に室賀、上林等により提案された論理最適化手法:トランスダクション法は、回路技術に応じて柔軟に回路を変形することができるため、国内外において多くの集積回路のCADツールに採用されており、本研究ではこの手法を基礎にしている。トランスダクション法で用いられる許容関数の概念の発展的概念として、LUT型FPGAの論理最適化に特化したSPFDがある。本研究では、これらをより知識としての回路データの再利用を促進するために、以下の2つの研究を行ってきた。 1.許容関数集合に基づくスイッチ型論理回路の最適化手法の提案 2.SPFDに基づくLUT型FPGA回路の再配線手法の提案 トランスダクション法は単方向に論理演算を行うゲートの組合せによる帰還ループのない論理回路にのみ適用可能であったが、ゲート内部のトランジスタ回路はトランジスタがスイッチと等価な動作をするため双方向に信号伝送可能で帰還ループがあるため適用不能であった。本研究ではスイッチ型論理回路向けの許容関数の計算手法とそれに基づく回路変形条件を提案し、本年度は国際会議などで発表を行った。 LUT型FPGAは結線接続やゲートの役割を果たすLUTで行われる論理演算を自由に変更できる回路で近年注目されている回路構成であるが、内部構造が固定されているために、論理回路を配置・配線した結果、性能が低くなることがある。本研究では、配置・配線を一度行い、その結果が仕様を満たさない場合にSPFDを用いて論理回路レベルで再配線を行う手法を提案し、国際会議で発表を行った。
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