研究概要 |
身の回りの環境に埋め込まれたセンサから得られた情報をもとに,人間や所有している計算機の状況(コンテクスト)に応じて振る舞いを変更するシステムを構築する際に,多様性・大規模性・複雑性といったユビキタス環境の特徴を考慮する必要がある.特に物理環境に存在するシステムが共有可能なモデル(世界モデル)について,その表現・構築・利用方法についての検討を行い,基盤システムとしてBazaarと呼ぶミドルウェアを実装した.世界モデルでは,物理環境を構成するオブジェクトの位置惰報を中心にそのオブジェクトの様々な属性を扱うことで,アプリケーショシが要求する多様なコンテクスト情報を提供可能となる.また,コンテクスト情報自身のみならず,品質やフォーマットといった情報を明示的に扱うことでシステムのポータビリティが向上することも可能となる.このため柔軟で拡張性が高い表現方法が求められ,本研究ではW3Cにおいて次世代ウェブコンテンツ記述方式として検討されているResource Description Framework(RDF)を適用した.また,膨大なオブジェクトの位置情報を低コストで取得するために無線タグ方式を採用した.無線タグ付けされたオプジェクトとRDFにより表現された自己に関する情報を関連づけ,.読み取り器による検出を契機としてその設置位置がさらに関連づけられることで半自律的に世界モデルが構築される.なお,RDFでは各属性を単純な三つ組により表現することが可能であるため,属性の追加や変更が容易となり多様性や複雑性に対処可能である.世界モデルの利用に関しては,物理空間に存在する概念(場所・オブジェクト・状態・センサ等)を用いたプログラミングモデルをBazaarにて実装し,直感的なプログラミング環境を実現した.世界モデルの複数アプリケーション間での共有の有効性検証と非統一的な属性表現の扱いは今後の課題である.
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