研究概要 |
平成15年度は,主に2つの事項について研究活動を行った.1つ目は,平成14年度までに本研究者が開発した人工衛星を地上から管制するシステム(以下,地上局システム)の機能実証を行った.開発した地上局システムは,本研究室で開発した超小型衛星(平成14年6月末にロシアより打上)を地上管制するだけでなく,世界中に散在した地上局システムをネットワークで接続し,世界規模で管制する分散地上局ネットワーク仕様を搭載している.まず本年度前半で,開発した人工衛星の管制を正常に行えることを確認し,本年度後半から日本の数大学間で相互接続し実験を行っている.2つ目は,近年打上機会が増加してきている小型衛星などに搭載可能な分散計算機システムの提案と開発である.小型衛星は,その大きさの制限より,低コスト,省電力,省スペースの搭載計算機が必須となる.地上の民生部品による中央処理装置素子(CPU)などは,低コスト化,小型高性能化,省電力化が進んでいるが,軌道上では宇宙放射線により。そのまま用いることができない.本研究では民生部品を用いて,ハードウェアおよびソフトウェア面から全体的に宇宙放射線耐性を持つ搭載計算機システムを提案している.このシステムは,放射線によるデータビットの反転などの現象に対して,内部ソフトウェアおよび外部回路によりCPUのレジスタなどを含めた全エリアチェックを定期的に検証・修正を行う.また放射線による回路短絡に関しては,電流検出,制限回路により保護する.本システムでは,この宇宙耐性機能に加え,地上局分散ネットワークによって得た分散技術搭載し,複数衛星間での相互監視なども行う.本年度後半で,この分散衛星搭載計算機システムの概念設計を行った.
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