研究概要 |
平成16年度は,主に2つの事項について研究を行った.1つ目は,超小型衛星に搭載可能な計算機システムの開発である.超小型衛星の開発は,短期開発,低コストという面からその潜在性を注目され,近年世界中の宇宙機関,大学期間で開発が進められている.本研究の目的である複数人工衛星,複数地上局による宇宙用分散ネットワークを提案,実証するためには,小型衛星搭載の計算機システムの開発は必須である.超小型衛星用計算機システムは,そのサイズ制限から,低消費電力,省スペースを要求されるが,現在地上で使われている最新の民生用演算器は宇宙放射線によりそのまま利用する事ができない.そこで,ハードウェアおよびソフトウェアを協調的に相互監視することで,宇宙放射線によるデータビットエラーなどを修正する方法を提案し開発を行った.本研究の手法では,CPUの内部レジスタレベルまで定期監視することでエラーを検出するものであるが,内部ソフトウェアが予想以上に高度化・複雑化し来年度も引き続き研究を続け,その上に宇宙用分散ネットワークを構成するためのプロトコルを実装する予定である.2つ目は,本研究者が開発した地上局システムをより改良を進め,地上局分散制御,人工衛星と連動した自動運用制御などの提案を行った.具体的には,地上局間を最新のInternet技術,XML(Extensible Markup Language)技術を利用した通信プロトコルを提案した.このプロトコルを用いて,世界各地に散在させた地上局間がInternetを介して分散ネットワークを構築し,複数の衛星を世界規模で運用することができる.来年度は,提案している超小型衛星用搭載計算機システムと分散地上局システムを連携させ,宇宙用分散ネットワークシステムを構築し,実際に開発中の超小型人工衛星を用いて実験,実証する予定である.
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