研究概要 |
CANDLE燃焼制御方式とは,原子炉の炉心の軸方向を燃焼領域が自律的に移動するという燃焼方式である.それに伴い,燃焼特性が燃焼寿命において変化しないという優れた特徴を持つ. 本研究では,そのCANDLE燃焼制御方式を高温ガス炉へ適用し,近い未来における革新的原子炉の可能性の評価,最適化を検討している.平成15年度までに,定常状態解析,時間依存解析の手法を開発し,計算コードシステムを開発した.また,これにより,種々の燃料体系において,その成立性の評価,特性の最適化の検討を行い,信頼できる結果が得られている.これらの結果は,炉心軸方向が無限長を想定し,炉心高さを8m,12mと高く採り,軸方向反射体が無いような理想的な体系である. 平成16年度においては,実際の炉心高さを適用した原子炉体系に適用し,燃料交換を伴う燃焼シミュレーション,温度分布,温度減少反応度・キセノン反応度といった,中性子特性を解析し,従来の燃焼方式と比較して,その優位性の評価,検討を行った.結果,燃焼に伴う余剰反応度は制御無しでも十分に小さく,また,ウラン濃縮度と可燃性毒物濃度を調整する事により,高燃焼度の達成,燃料交換間隔の長期化といった結果が得られ,経済性に大きな優位性が見られた.また,温度分布は,炉内をウラン濃縮度で調整しなくても最適分布を構成でき,冷却材出口温度の高温化が容易に達成できる事が解った.また,温度減少反応度・キセノン反応度は共に従来燃焼方式より小さく,予備制御装置の簡易化が可能となり,経済性が向上する事が解った. これらの事から,従来燃焼方式と比較し,安全性,経済性に大きな優位性を示す事が証明された.なお,これらの結果は,今春の日本原子力学会及びICAPPO5において発表予定である.
|