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2003 年度 実績報告書

各種微生物学的アプローチによるエネルギー回収型廃水処理制御技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 03J52481
研究機関長岡技術科学大学

研究代表者

山田 剛史  長岡技術科学大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)

キーワードUASBプロセス / 嫌気性バルキング / 糸状性微生物 / Chloroflexi門細菌 / FISH
研究概要

近年、上昇流嫌気性スラッジブランケット反応器(UASB)プロセスの普及と適用廃水種の拡大に伴い、現在まで認知されなかった問題が認知されてきている。特に深刻な問題として、内部に形成されるグラニュール汚泥が、かなりの頻度で突発的に浮上する問題が確認されており、処理プロセスで重大な問題となっている。この浮上問題には、多くの場合ある種の糸状性嫌気性微生物が関与していることが明らかになりつつある。本研究では、嫌気性廃水処理でのバルキング問題に焦点をあて、これを解決することを最終目標に掲げている。
本年度は、特定したバルキング原因菌の一つであるChloroflexi門細菌に焦点をあてた。本細菌群は、非常に分離培養が困難であることから、その生理、生態に関する情報が皆無であった。様々な試みの結果、各種本研究では、産業廃水などを処理する中温、高温UASBグラニュール汚泥より、4株(中温性2株、高温性2株)の上記細菌を分離・培養することに成功している。そこで、さらにこれらの生理学的特徴を把握し、上記細菌のグラニュール汚泥内における役割を明らかにすることを試みた。
これら4株はpH7.0付近に至適pHを持ち、また中温性2株の至適温度は37℃、高温性2株は55℃付近であった。また、分離株は、酵母抽出液存在下でスクロースやグルコースなどの糖類を基質として利用することが可能であった。上記細菌群に特異的なDNAプローブ用い、グラニュール汚泥切片に対しFISH (Fluorescence in situ hybridization)を適用すると、Chloroflexi門細菌は、汚泥表面に多数存在することを確認した。これらの結果より、UASB汚泥内のChloroflexi門細菌は、嫌気的発酵の初期段階を担いながら、それと共に糸状性の菌体を絡めて有機酸等の2次発酵を担う微生物やメタン生成古細菌を内包し生育しているのではないかと考えられた。今後、さらなる詳細な生理学的情報の収集により、バルキングを起こすメカニズムを明らかにしていく予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] Sekiguchi, Y., T.Yamada, S.Hanada, A.Ohashi, H.Harada, Y.Kamagata: "Anaerolinea thermophila gen.nov., sp.nov. and Caldilinea aerophila gen.nov., sp.nov., sp.nov., novel filamentous thermophiles that represent a previously uncultured lineage of the domain Bacteria at the subphylum level."International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology. 53. 1843-1851 (2003)

  • [文献書誌] 山田剛史, 関口勇地, 井町寛之, 鎌形洋一, Philip Hugenholtz, 白石皓二, 大橋晶良, 原田秀樹: "嫌気性バルキング現象に関与する糸状性細菌の解析"第58回日本土木学会年会(2003.9.24-2003.9.26). 605-606 (2003)

  • [文献書誌] 山田剛史, 関口勇地, 井町寛之, 鎌形洋一, Philip Hugenholtz, 白石皓二, 大橋晶良, 原田秀樹: "嫌気性バルキング現象に関与する門レベルで新規糸状性細の解析"第19回目本微生物生態学会年会(2003.10.27-2003.10.29). 149 (2003)

  • [文献書誌] 山田剛史, 関口勇地, 井町寛之, 鎌形洋一, Philip Hugenholtz, 白石皓二, 大橋晶良, 原田秀樹: "嫌気性水処理汚泥のバルキング化に関与する門レベルで新規な糸状性細菌の解析"第38回日本水環境学会年会(2004.3.17-2004.3.19). 242 (2004)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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