本研究では、Cu-ATSMの腫瘍内局所集積がいかなる細胞生物学的情報を示しているのかを培養腫瘍細胞-動物実験系を用いて明らかにし、Cu-ATSMを用いることにより新しい腫瘍の質的診断、治療方針の決定、予後判定に有用な診断法を提案することを目的とする。 平成15年度には以下のことを行った。 (1)担ガンマウスモデルの作成 マウス起源の培養腫瘍細胞である、B16(悪性黒色種)、LLC1(肺癌)、Meth-A(肉腫)、colon-26(大腸癌)、EMT-6(乳癌)をマウス皮下に移植し腫瘍を形成させた。臨床における多くのガンに対応するモデルとするため、起源ならびに結節形態の異なる細胞系を選択した。 (2)2核種オートラジオグラフィー実験系の確立と評価 上に記した5種類の担ガンマウスにF-18-FDGならびにCu-64-ATSMを同時投与し、1時間後に屠殺し腫瘍を摘出した。摘出した腫瘍の切片を作成後、F-18-FDGとCu-64-ATSMの減衰時間に合わせてそれぞれの局所放射能濃度をイメージプレートで測定し、画像計測するための条件設定を行った。その結果、投与量、投与時間、データ収集条件などが決定された。以上により担癌マウスを使用してF-18-FDGならびにCu-64-ATSMの腫瘍内分布の画像化が可能になった。 以上の研究を行い有用なデータを得ている。現在これらのデータを元に免疫学的・組織学的な比較検討を行い、Cu-ATSM集積に関する研究を行っている。
|