1、イギリス1996年仲裁法の立法歴史、とりわけ裁判所により司法審査制度の議論について調べた。また、英国における仲裁制度の発展歴史、英国における仲裁の概念とドイツ・フランスにおける仲裁の概念との相違を研究した。 2、スイス仲裁法の歴史発展、国際仲裁に関する国際私法12章の規定と、国内仲裁に関するスイス連邦協定の規定、を比較研究した。とりわけ仲裁判断に対する司法審査について顕著の相違が見られる。スイス仲裁法の研究に関して日本語の文献が希少で、英語の文献の多くないため、主にドイツ語とフランス語の専門書・論文を手係りに調査・研究とした。 3、仲裁人の独立・不偏性に関する要求について、アメリカ、英国、ドイツ、フランス、スイス、日本等諸国の比較研究を行い、各国の仲裁法規定と判例法を検討した。さらに、アメリカでは仲裁人の倫理規定が去年(2004)に改定が行われ、興味深い変化が見える。 4、仲裁人の免責問題に関して、フランス、英国、アメリカ諸国の比較研究を行った。歴史の由来及び現代における学説の議論を整理した。裁判官の免責問題と比較して、問題の特性を明白にするほか、専門家責任との比較から、興味深い示唆が受けられる。ドイツにおける議論の状況はいまだ検討してないので、これから補充する予定である。 5、仲裁判断の再審制度について、スイス、フランスの制度を調査し、制度の存在価値を研究した。仲裁の再審制度と仲裁判断の取消制度を比較して、その異同を検討した。
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