研究課題
1993年度の調査は、9月8日から11月11日にかけて行い、ほぼ当初計画通りの調査が実施でき、調査諸地域における道教の現状について、期待した成果がおおよそ得られた。調査参加者は、日本側は研究代表者・蜂屋邦夫以下5名、中国側は上海で合流した曹章棋、合計6名である。調査地点は、上海・浙江(杭州・紹興・黄岩・温州)・福建(福州・甫田・泉州)・広東(恵州・羅浮山・広州)・湖南(衡山・南岳・長沙)・江西(萍州・閤阜山・南昌・龍虎山)である。まず、これまでの経験を生かし、上海で、上海白雲観から南方の道教について情報収集を行い、諸地方との事前連絡を最終的に行って、今回の調査地点を確定した。浙江省では、杭州の抱朴道院、温州の道協、福建省では、福州于山九仙観のほか、福清・甫田・泉州などの道観、広東省では、広州の五仙観・三元宮・純陽観、恵州の元妙観・羅浮山沖虚観など、湖南省では、長沙河図観、衡山玄都観など、江西省では、新県西山万寿宮、貴渓龍虎山天師府・上饒太清宮などの調査を行った。調査内容は、道教協会の活動の現状、道士の人数と宗派、年齢構成、法事の費用と規模、道観の配置、神像の設置状況、道士や信徒の宗教活動の状況、道観経済など、従来おこなってきた調査内容と同様に、道教全般にわたる。これらの事項に関する資料を、道士からの直接聞き取り調査、写真撮影、測量などの方法により、ほぼ当初の計画通り収集できた。なお、今回の調査の補足として、蜂屋は1994年2月19日より3月27日にかけて、福建省を中心とした地域の調査をも行った(東京大学特別事業費による海外現地調査、別途報告)。
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