| 研究課題/領域番号 |
04041028
|
|---|
| 研究機関 | 東京大学 |
|---|
研究代表者 |
青柳 正規 東京大学, 文学部, 教授 (40011340)
|
|---|
| 研究分担者 |
芳賀 満 東京大学, 文学部, 助手 (40218384)
松山 聰 大阪文化財センター, 技師
中西 靖人 大阪文化財センター, 調査課長
伊藤 重剛 熊本大学, 工学部, 講師 (50159878)
鷹野 光行 お茶の水女子大学, 助教授 (20143696)
本村 凌二 東京大学, 教養学部, 助教授 (40147880)
|
|---|
| キーワード | イタリア / 古代ローマ / タルクィニア / カッツァネッロ / クインティアナ / 別荘 / モザイク / ランプ |
|---|
| 研究概要 |
本調査研究の対象である遺跡は、イタリア共和国の首都ローマの北西約100キロに位置するタルクィニアのカッツァネッロ地区の、ティレニア海に面した小麦畑のなかにある。本年度は、約3000平方メートルの調査地区の地形測量と写真撮影から開始し、その中の400平方メートルに5メートル間隔の杭を碁盤目状に設置した。実際に発掘を行なったのは約250平方メートルで、三葉形の大広間とそれに付随する小部屋4室を発掘した。
出土した遺構の壁体は、煉瓦と砕石を用いたコンクリート造りで、いわゆるオプス・ミクストゥムである。出土品としては、大量の瓦、建築装飾用に浮彫り、アンフォラ、粗製陶器、ランプ、青銅器、ガラス器、象牙製の装身具、青銅貨幣などで、総計280箱の遺物箱に入れてタルクィニア国立博物館に収蔵した。ランプの形式などからおそらく紀元4世紀前半に建設された建物と推定されるが、床面には紀元1世紀のモザイク断片が残っており、その時代のおそらく浴場と思われる建物の上に建設されたことが判明した。
三葉形大広間の用途は今回の調査では明らかにされなかったが、おそらく宴会場のような機能をもつ部屋として建設されたものと推定される。また、今回の調査でほぼ明らかとなったことは、この建物が別荘の一部というより、アウレリア街道沿いの宿場町を形成するいくつかの建物の一つであり、その宿場町は、おそらくクインティアナと呼ばれていたと考えられることである。もちろん地名の同定には、碑文など文字資料の発見が必要であり、今後の調査にまたなければならないことはいうまでもない。
|
