原始的被子植物の起源と系統分化に関する研究

1993 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 04041034
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 加藤 雅啓 東京大学, 理学部, 助教授 (20093221)
• 研究分担者: KOMARA Dian インドネシア国立生物学研究開発センター, 研究員 ; WARSITA Uway インドネシア国立生物学研究開発センター, 研究員 ; DARNAEDI Ded インドネシア国立生物学研究開発センター, 研究員 ; RIGBY John F クイーンズランド地質学研究所, 主任研究員 ; 植田 邦彦 金沢大学, 理学部, 助教授 (60184925) ; 岡田 博 大阪大学, 教養部, 講師 (40089892) ; 今市 涼子 玉川大学, 農学部, 助教授 (60112752) ; 西田 治文 国際武道大学, 体育学部, 助教授 (30164560) ; 長谷部 光泰 東京大学, 理学部, 助手 (40237996)
• キーワード: 被子植物 / 起源 / 系統分化 / 分子系統 / 花形態 / 化石 / グロッソプテリス / 胚珠

研究概要

1.昨年度調査を行ってグロッソプテリスの良好な化石を収集したクイーンズランド州(オーストラリア)において再調査を行った。その結果、昨年度よりもはるかに良好な、生殖器を含む化石資料を多く採集することができた。現在、ピ-ル法によって切片を作成し、観察を開始したところである。
2.クイーンズランド州およびサンチャゴ(チリ)において原始的被子植物の資料採集を行ったところ、ヘルナンディア科をはじめとする原始的被子植物を収集できた。現在、これおよび昨年度に収集した資料を用いて分子分類学的研究に着手したところである。
3.ジャヤプラ(インドネシア、イリアンジャヤ)周辺において原始的被子植物の花および資料の収集を行った。その結果、ガルブリミマ属(ヒマンタンドラ科)、ユ-ポマティア属(ユ-ポマティア科)などの花材料を収集することができた。また、同地域における日本人植物学者による本格的な調査は初めてであるので、被子植物だけでなく植物相全般にわたる植物標本を収集した。
4.昨年度収集した資料を用いて12科18属の原始的被子植物について花形態学的研究を行ったところ、外珠皮が従来考えられていたように内珠皮と同じくリング状ではなく幌状であることが明らかになった。この新知見は被子植物の花の起源、さらにひいては被子植物という群の起源を探究する上で極めて興味深い。
5.リグビ-博士とダルナエディ博士が招へい研究者として来日し、東京大学などでそれぞれ化石資料および標本資料の整理とそれに基づく共同研究などを行った。

研究成果

• [文献書誌] Matsui,M.et al.: "Ovular development and morphology in some Magnoliaceae species" J.Plant Res.106. 297-304 (1993)
• [文献書誌] Umeda,A.et al.: "Ovular development and morphology of the outer integument of Magnolia grandiflora" Amer.J.Bot.81. (1994)