研究課題
本年度はマダガスカル共和国におもむき(1)相手国共同研究者と正式の協定書を交換・調印、(2)調査対象となるベき有害動物をマダガスカル各地においてなるべく広く観察・採集することを試みた。まず既にマダガスカル側共同研究者らによって毒成分の報告があるマンテラ属などカエル類については、NIH・Daly博士らとさらに詳細な種レベルの分布調査を行い、未記載種を2種発見した。これらの毒成分については、持ち帰った材料をもとに、日本及び米国で、鋭意検索中である。一方、クモ類については、比較的大型種で個体数が多いものに的を絞り、毒腺を採取し持ち帰った。毒腺中の成分についても高速液体クロマトグラフィー等の手法によって分析を開始し、一部データがでている。さらに、今回ことに力を入れることにしたサソリについては、東部海岸地帯の熱帯雨林中のものは、個体数が著しく少しく不適であったが、比較的高地にある原生林からは毒成分分析の対象となりうる種がいることが判明した。この種の他に、中南部の乾燥地帯にも個体数の比較的多い別種がおり、これは約100頭分の毒腺を持ち帰ることができた。このほかに、ハチ類に関する情報を含め、マダガスカルの異なった気候・植生帯のうち、中央高地、東部熱帯雨林、南部乾燥地帯については、実際に訪れ、地域の特微、道路宿泊事情等具体的な情報を集めることができた。毒成分の分析が進んだ段階で、諸般の情報をあわせ、次年度の本調査の具体的内容を決定する予定である。