研究課題
本年度の主たる目的は、旧東ドイツの人口・農業・工業・都市構造の変化ならびに地域計画を把握するとともに、旧国境地域の特色を考察することであった。われわれは、これらの研究課題を分担して研究・調査した。旧東ドイツの変化は、都市の外延的拡大にみられるように大筋においては「旧西ドイツ化」しているといえよう。しかしながら、農業の変化にみられるように、旧西ドイツとは異なった動きもみられる。旧東ドイツでは、個人農とともに、農業協同組合、株式会社などの資本会社が成立し、重要な役割をはたしているのである。旧国境地域(旧東ドイツ領)にとって、とりわけ国境が消滅した意味は大きい。この地域は旧西ドイツの都市市場と隣接・近接することになったからである。それによって、この地域ではつぎのような注目すべき変化がみられるようになった。1)旧国境地域では人口の流出が大きい反面、旧西ドイツ都市市場へ通勤する人が多い。2)旧西ドイツ市場に近接しているため、農作物の販売が容易である。3)旧西ドイツやEC諸国の農民(企業)の進出がより顕著となっている。4)耕地の需要が高く、地価が高い。5)都市化の進展がより顕著となっている等。こうした結果、旧国境地域はプラス、マイナス両面を有するようになっているが、今の時点でみれば、旧東ドイツのなかでは経済的に恵まれた地域になっているといえよう。平成6年度においては、詳細な調査を実施して旧国境地域の特質と問題点をさらに明確にしたいと思う。
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