研究課題/領域番号 |
04041061
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
掛谷 誠 京都大学, アフリカ地域研究センター, 教授 (30020142)
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研究分担者 |
伊谷 樹一 宇都宮大学, 農学部, 助手 (20232382)
岡 恵介 アレン短期大学, 英語英文科, 助教授
杉山 祐子 弘前大学, 人文学部, 助教授 (30196779)
高村 泰雄 京都大学, アフリカ地域研究センター, 教授 (30026372)
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キーワード | アフリカ / 疎開林 / 焼畑農耕 / チテメネ / 内発的発展 / 農業生態 / ベンバ族 / 半常畑耕作 |
研究概要 |
ザンビア国北部州のベンバ族の村に設定した調査拠点で、伝統的な焼畑農耕(チテメネ・システム)と、新たに普及しつつある半常畑耕作をめぐって、農業生態学的調査と社会生態学的調査を進めた。 農業生態学的調査では、疎開林・焼畑・半常畑の分布・作付け体系などの観察、土地利用調査を基礎にしながら次ぎのような調査に力を注いだ。伝統的な焼畑では輪作・混作を組み込み、ほぼ4年間にわたって耕作されるが、その全期間を通じての作物収量を測定した。また年輪測定法を用いて焼畑更新の通時的変遷の追跡を試みた。そして、チテメネ・システムを支える伝統的な知識について体系的な資料を得た。これらの調査から、チテメネ・システムは予想以上の生産力を保持し、造林型の焼畑農耕である可能性をみいだすことができた。同時にチテメネ型の実験圃場を設定し、火入れ後の浅土耕起やシコクビエの改良種の導入などの実験を開始した。 社会生態学的調査では、焼畑・半常畑の耕地面積の測定、村・世帯のセンサス、食生活の調査を含めた生計維持戦略の調査を基礎としつつ、半常畑耕作の導入・普及過程とその現状についての調査に力を注いだ。調査域の村むらでは、1986年以降に換金作物のトウモロコシを栽培する半常畑耕作が急速に導入され、生活の大きな変容期を経験したが、現在、焼畑と半常畑の並存による安定したシステムを形成しはじめている。このような農業システムの転換と安定は、村レベルと国レベルの社会経済的動態が複雑にからみあったメカニズムによって促されたことが明らかになり、その機構の解明が進んだ。
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