研究課題/領域番号 |
04041061
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
掛谷 誠 京都大学, アフリカ地域研究センター, 教授 (30020142)
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研究分担者 |
今井 一郎 弘前大学, 人文学部, 助教授 (50160023)
杉山 祐子 弘前大学, 人文学部, 助教授 (30196779)
荒木 茂 京都大学, アフリカ地域研究センター, 助教授 (00158734)
高村 泰雄 京都大学, アフリカ地域研究センター, 教授 (30026372)
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キーワード | アフリカ / 疎開林 / 焼畑農耕 / チテメネ / 内発的発展 / 農業生態 / ベンバ族 / 半常畑耕作 |
研究概要 |
ザンビア国北部州に住むベンバ族の農業生態学的・社会生態学的調査を深めるとともに、タンザニア西部・西南部にも調査域を広げ、疎開林帯における在来農業の持続と変容をめぐる比較研究を進めた。 ベンバ族の農業生態学的調査では、前年度に設定した焼畑(チテメネ)型の圃場での実験結果を追跡し、在来型のシコクビエ栽培法が予想以上に効率が高いことや、火入れ効果と灰の適性量の混入の重要性が明らかになった。この実験は、2年目の焼畑の生態的諸条件を検討するために継続し、さらに半常畑での農法の改良実験にも着手した。また調査地周辺域の環境利用・農耕システムの現状・人口数を調査し、人口支持力の算出と環境改変の分析を進めた。同時に、衛星写真と現地での実態を照合させる調査によって、焼畑・半常畑・疎開林の分布と土地利用の通時的変化を広域にわたって解析しうる見通しを得た。社会生態学的調査では、村内の男・女の有志がそれぞれ協同組合を結成し、半常畑に投入する化学肥料を購入する基礎資金の蓄積に努めるなどの、新たに形成されつつある社会動態の分析が進んだ。また焼畑耕作と半常畑の開墾を支える在来の農業技術や知識の体系の解明が進み、それらと祖霊信仰を核とする世界観との密接な関係を示す資料が得られた。 疎開林帯での重要な動物性タンパクの供給源となるバングウェウル・スワンプ域での漁業調査では、インフレに対処するためのバーター取り引きの展開、ラムサール条約下での法的規制と、漁撈活動の変容状況との関係の分析が進んだ。また、タンザニアの疎開林帯に住むマテンゴ族調査では、ピット耕作(堀り穴耕作)と呼ばれるユニークな集約的在来農法の存続状況が明らかになり、トングウェ族調査では、山地域の川辺林での焼畑農耕と湖岸域の畝立て耕作とに分化しつつ現代的状況に対応している実態が明らかになった。
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