研究課題
当初の調査計画を、調査許可のための必要な期間を見込んで、11月末から1月いっぱいまでとし、タイ国およびマレーシア国のマレー半島で調査を行うよう予定を変更した。しかし、1992年夏のタイ国での政変後、野生動物保護の規制が強化され、タイ国では調査許可の取得がたいへんむずかしくなった。そこで、今回はマレーシア国の半島部を主として調査することにした。タイ国では、チュラロンコン大学の共同研究者と農業省、森林省等の関係官庁と調査計画の検討を行い、研究計画の調整をおこなって、1993年度調査の許可の内諾を得た。マレーシア国では、マラヤ大学のヨン・ホイセン教授の援助を得て、マレー半島各地で調査を行った。調査地はカキブキット、ジェライ山、ペナン島、ラルットヒル、キャメロン高原、フレーザーズヒル、ゲンティン高原、ゴンバック(マラヤ大学演習林)である。これらの地域で野外調査と標本採集を行い、カエル類の音声データ、両生爬虫類の体温データを記録し、クワガタムシ・クロツヤムシ類の幼虫・成虫の生活史を調べた。両生爬虫類はマラヤ大学に持ち帰り、一部の標本については核型を調べ、日本での遺伝学的な研究のため、組織を冷凍保存して持ち帰った。クワガタムシ・クロツヤムシについては、幼虫と成虫との対応を調べるため、一部の幼虫と成虫を農林水産省の許可を得て日本に持ち帰り、飼育を行っている。現在持ち帰った標本と音声、核型、体温データの整理を行い、解析を進めている。