研究分担者 |
鄭 紹華 中国科学院, 古脊椎動物与古人類研究所, 副教授
宗 冠福 中国科学院, 古脊椎動物与古人類研究所, 副教授
黄 万波 中国科学院, 古脊椎動物与古人類研究所, 副教授
武藤 鉄司 長崎大学, 教養部, 講師 (70212248)
三枝 春生 姫路工業大学, 自然環境科学研究所, 助手
那須 孝悌 大阪市立自然史博物館, 学芸課, 学芸課長代理(研究職 (30110042)
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研究概要 |
本年度は古脊椎動物古人類研究所と9月20日〜10月10日に中国甘粛省霊台県地域の発掘調査を行い,11月17日〜12月18日に発掘された標本の調査を行った。調査地域は北緯35度3分〜5分,東経107度43分〜45分の間で,上位を黄土に被われ,下位の下部白亜系を被う雷家河層を発掘した。1972年には7ヶ所の化石産地が発見され,1992年度には新たに7ヶ所発見した。野外で層序を調査し,微化石試料の採集と堆積物の解析を行った。化石産地の発見・採集を行い,その層準の確認を行った。化石産地Locality4では精密な発掘を行い,化石産地Locality1と4の堆積物からふるい法で小哺乳類化石を採集した。地質研究所の陳 他2名は独自に本地域の古地磁気資料を採集した。 今年度の結論としては雷家河層の堆積環境は陸上環境で堆積し,礫岩体は活動的蛇行チャネルの充填堆積物,泥質岩はその氾濫原の堆積物,全体としては沖積環境,礫岩体は蛇行チャネルに発達するポイントバーを表す。下底侵食面はチャネル地形に相当し,侵食面直上の泥岩偽礫は氾濫原堆積物である。地質研究所の陳によると,地磁気の逆転パターンから雷家河層はおもにギルバート期を,一部にガウス-ギルバート期の境界やクロン5期までを含むとしている。発掘された500個以上の脊椎動物化石のうち,大型哺乳類化石し小型哺乳類化石は中国北部の後期中新世から鮮新世に一般的にみられる化石であった。 93年度の野外調査では,雷家河層堆積盆の広がりをつかみ,層序を確立する。Locality4以外でも古環境を指示する微化石試料を採集する。92年度の古地磁気データは再検討を行う。また,標本調査では,雷家河層産化石を他のユーラシア・北米産哺乳類と比較い分類群を検討する。
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