研究分担者 |
蘇 哲 北京大学, 考古系, 講師
劉 軍 浙江省文物考古研究所, 副所長
楊 陸建 浙江省博物館, 副館長
厳 文明 北京大学, 考古系, 教授
湯 聖祥 中国水稲研究所, 作物部, 室長
湯 陵華 江蘇省農業科学院, 作物部, 講師
おろ 江石 江蘇省農業科学院, 所長
寺沢 薫 橿原考古学研究所, 調査課, 主任研究員 (90250365)
菅谷 文則 橿原考古学研究所, 調査課, 課長 (70250355)
高倉 洋彰 西南大学, 文学部, 教授 (70226760)
白木原 和美 熊本大学, 文学部, 教授 (60089141)
中村 郁朗 国立遺伝学研究所, 総合遺伝研究系, 助手 (50207867)
佐藤 洋一郎 国立遺伝学研究所, 総合遺伝研究系, 助手 (20145113)
藤原 宏志 宮崎大学, 農学部, 教授 (40040860)
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研究概要 |
研究調査は,佐藤,藤原,和佐野及ば高倉をそれぞれ班長とする4班に分かれて,異なる期間に行った。佐藤及び藤原班は長江下流域・江南地方の杭州,蘇州の遺跡周辺の発堀調査(プラントオパール及び水田遺構)及び発堀植物遺物のDNA分析を行った。和咲野班は,長江および黄河流域に分布する新石器時代の稲作農耕遺跡から発堀された炭化稲粒(籾あるいは米)及び貯蔵籾の接写写真撮影による測定調査及び稲作農耕文化に関連する遺物の観察研究と遺跡の現地調査を行った。結果は,(1)佐藤および中村によるDNA分析については,遺跡から出土した稲遺物の分析素材が入手できず,他の植物遺物のDNA分析は行った。(2)藤原班は,長江下流域にある草鞋遺跡(紀元前3500年)に近接した水田の発堀調査を行い,水田遺構の確認し,稲のプラント・オパール分析からインド型及び日本型の両種の稲の混在を発見した。(3)和佐野は,河姆渡(再調査),銭山漾,大敦子,鳳凰山,洛陽楳土抗墓,奎山漢墓,楊家圏,大嘴子の8ヵ所の遺跡から発堀された炭化稲粒(籾あるいは米)及び貯蔵籾の接写写真撮影による測定調査を行うことができ以下のことが分かった。(イ)紀元前5000年の河姆渡遺跡からの炭稲粒は,ほとんどが長粒のインド型のものであったが,短粒の日本型稲の混在が数パーセントみられた。(ロ)銭山漾遺跡(紀元前3300年)からの炭化稲粒は短粒の日本型稲であった。(ハ)雲南省の遺跡である大敦子(紀元前1500年)の炭化稲粒は,すべてほぼ同じような大きさ,形の短粒の日本型稲であった。(ニ)黄河流域(洛陽市,徐州市)の漢墓(前漢時代)の貯蔵籾は長・大粒種であり,日本の在来種の稲とは異なるものであった。(ホ)山東半島の楊家圏遺跡(紀元前2300年)の陶片中の籾は,いくつかの日本の在来稲品種とよく類似し,日本への稲の伝播い重要か示唆を与えた。(ヘ)遼東半島の大嘴子遺跡(紀元前1300年)の炭化米は短粒ではあったが,弥生時代のそれに比べて狭粒で日本型稲とはやや異なるものであった。
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