研究分担者 |
チラポン スパワディ チェンマイ大学, 医学部, 助教授
プラコン ファヌテイ タイ公衆衛生省, 医科学局予防衛生研究所, 部長
ニポン ジャヤマンカラ メージョ農業技術大学, 農業生産学部, 学部長
ワナパ スワンカード タイ公衆衛生省マラリア局, 第2地域センター, 主任研究員
チラサク カンプンルアン チェンマイ大学, 医学部, 所長
杉山 章 名古屋女子大学, 短期大学部, 助教授 (30196761)
福井 捷朗 京都大学, 東南アジア研究センター, 教授 (10027584)
五十嵐 章 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (40029773)
津田 良夫 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助手 (20207393)
高木 正洋 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教授 (60024684)
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研究概要 |
小地域での詳細調査を北部タイの3村で開始した。今年度中に実施出来た調査項目は,(1)水田稲作の形熊,(2)煤介蚊の発生の発生状況,(3)蚊発生水域の生物群集,(4)囮子豚によるHI抗体価上昇のモニタリング,(5)郡単位の患者発生数の推移である。煤介蚊虫密度の季節的消長に地固有の稲作運営の影園を認め,二期作水田地帯では2山型のパターンが現れた。周年比較的安定した水域であった水田周辺の溝,堀,沼沢地からの蚊の発生様相は,個体群の安定維持という点から注目された。水域面積のより定量的な把握による発生指数の割り出しが今後の課題である。成虫は,豚舎でのライトトラップ,豚囮を用いた蚊帳採集,トラックトラップにより調査中である。個体数はライトトラップで最も多く,数煤介蚊種の季節的消長が明らかに出来た。成虫の消長も地域単位で異なる傾向が窺われた。ライトトラップ以外の採集方法では誘引源への飛来状況を解析する手がかりが得られた。2蜂性と認められる煤介蚊発生パターンには,患者発生数,囮豚でのHI抗体価の推移と参照すると,疫病発生に寄与していないのではないかと思われる大きな蜂が存在し興味深い。 一方,タイ国の各地域における日本脳炎煤介蚊成虫の季節的発生消長も調査した。北部,東北部,中央部の6つ,南部の県において,それぞれ3地区の豚舎にライトトラップを設置し,月1回終夜運転して蚊を採集した。煤介蚊の採集数は,季節により,種類により,県により,また県内の場所により大きく異なっていた。全体としては,煤介蚊の中でコガタアカイエカが多く,また季節消長はそれぞれの地域の稲作運営に影響され,これが患者の季節的発生パターンの地域差と関連しているらしいとの興味ある結果が得られつつある。
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