研究概要 |
民族学調査では,6月を中心とした氷雪上での狩猟漁撈活動に同行して観察記録を行なった。その結果,石組の梁を用いた漁撈法については,6月におけるものが,1991年度に調査した8月の梁漁とは異なることが判明した。また,海氷上におけるアザラシに呼吸穴猟の方法と,それをとりまく社会関係が把握された。そして,全般を通じて,生業活動における女性の行動と,その位置付けが解明された。 民族考古学調査では,伝統時代(1960年代の定住化以前の時期)の生業や遺跡に関する情報の全般的な把握に主眼をおいた。具体的には,村の古老にインタビューを行い,彼らが若かった頃(1920年代〜1960年代)における狩猟・漁撈活動の季節と場所のパターンとバリエーションを把握した。そして,平成5年度以降の本格的な測量調査に先立って,現地を踏査し,遺跡の存在を確認した。 言語調査では,まずペリーベイ地方の現地語の習得を行った。その結果,この地方の方言の特異性と,世代間の言語差異の存在が明らかとなった。さらに,民俗分類においても,世代間の偏差が予測されることとなった。 社会人類学調査では,実際の家庭の生活に参加して,現代の社会生活における生活時間の配分を調査した。また,学校を訪問して授業等を観察し,学校教育の実状を把握した。そして,世帯調査を実施して,居住単位の変動性を明らかにした。また,動物,特に犬についての民俗認識に関する情報も集められた。
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