研究課題
今までの研究より、本研究で取り扱うNi-Al-Ti基系合金では、その機械的性質が組織に大きく影響を受ける事が明らかとなった。この事実は、合金の組織制御が、新しい超耐熱合金の開発のための重要な要素であることを示している。合金の組織制御のためには、合金の地図とも言える状態図の確立が必要である。しかし、従来より行われてきたような試行錯誤的な実験に基づく状態図の決定を行うことは、時間と労力の制約より困難であり、計算状態図の確立が不可欠である。以上の理由から、本年度は、計算状態図の基礎資料となる相平衡の実験を中心に、以下に示すような研究を行った。(1)Ni-Al-Ti-X系におけるη(Ni_3Ti)、β_1(NiAl)、β_2(NiTi)、H(Ni_2TiAl)への第4元素の分配挙動について研究をおこなった。この結果、これら各相への第4元素の分配傾向は、元素の種類によって大きく異なることがわかった。(2)Ni-Al-Fe系では、β_1相内に見られるB2からL1_0へのマルテンサイト変態と、引き続いての加熱によるNi_5Al_3相への規則化を利用することによってサブミクロンオーダーのγ'(Ni_3Al)+β_1超微細ラメラ-組織を得る事が出来ることを明らかにした。(3)昨年度、Fe-Ti-Al3元系にホイスラ-(Fe_2TiAl)相が存在することが、ドイツとの共同研究により明らかになった。本年度、本グループにおいてβ'_2相の規則-不規則変態を調査したところ、本相が1200℃以上の高温でも規則相として安定であることが明らかとなった。以上の結果をドイツ側へ連絡したところ、β'_2相単相合金の高温機械試験を行うこととなり、ドイツ側において、室温から1100℃までの温度範囲で圧縮試験を行った結果、およそ700℃で降伏応力が最高となる、降伏点の逆温度依存性が見出された。
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