研究概要 |
初年度の主要目標をニワトリの卵母細胞中に存在する減数分裂前期のランプブラッシ染色体の分離とZW性染色体の形成する2価染色体の同定,この染色体へのDNAプローブによる蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)法の確立に置いた。 6月に研究代表者(水野)と研究協力者(斎藤)がフレッドハッチンソンがん研究センターの研究分担者(ハッチソン)の研究室に行き、ハッチソン博士からランプブラッシ染色体の分離法について指導を受けた。その後、研究協力者の斎藤靖史士博がクローニングしたニワトリのW染色体およびZ染色体のいくつかのDNAプローブによるFISHの条件検討を行なった。水野はハッチソン博士と今後の共同研究の進め方について協議した。水野は8月初めにインターラーケンで開催された家禽ゲノムマッピングワークショップに出席して、ニワトリの性染色体のいくつかのDNAクローンの性質と染色体上の局在部位について、これまでの成果を発表した。 10月にはハッチソン博士を招へいし、東北大学農学部の研究代表者の番究室で再度ニワトリのランプブラッシ染色体の分離法についた指導を受けたのち、FISHの実験を開始した。この実験の結果、Z染色体上の2種の遺伝子、IREBPとZOV3の染色体上の局在部位が明らかになり、ZW2価染色体の対合部位がZ染色体ではZOV3遺伝子の存在部位に近い末端領域であることが示された。 ハッチソン博士はその後テロメアプローブや内在性ウイルス配列をプローブとしたFISHを行っており、既に明らかにされているW染色体上のXhoI,EcoRI両反復ファミリーの局在部位と合わせて、ZW2価染色体上の遺伝子ならびに反復配列のフィジカルマッピングに関する論文を共同で発表する準備を始めている。
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