研究課題
本研究の目的は、ビッグバン宇宙の初期に存在が推定されているクォーク・グルオンプラズマ(QGP)を、地上の実験室で高エネルギー重イオン正面衝突による初めて生成し、それを検出するための大型スペクトロメータの開発・建設である。平成4年度には、筑波大グループは、プラスチックシンチレーターを使った高分解能飛行時間測定器を開発し、コロンビア大グループと協力して米国ブルックヘブン国立研究所およびわが国の高エネルギー物理学研究所でそのテスト実験をおこなった。その結果、時間分解能80ピコ秒(1.5m長カウンター)という高分解能を達成することができた。またわれわれの開発した高時間分解能の技術の応用として、従来、光子や電子の粒子識別のみに用いられていた電磁カロリメーターを改良し、ハドロンの識別にも適用できる可能性が開けた。以上の成果は、筑波大がコロンビア大と共同提案している米国ブルックヘブン国立研究所におけるクォーク・グルオンプラズマ生成・検出プロジェクトPHENIX-RHIC実験の測定器建設の要ともなる。今後の計画として、1.高時間分解能飛行時間測定器に、新しく開発したタイミングディスクリミネーターを装着し、さらにライトガイド,磁気シールド等の形状を実際の実験に最適化して、テストをおこなう。2.飛行時間法の技術を応用して、従来、光子・電子の粒子識別にのみ利用されていた電磁カロリメーターを改良して、ハドロンの識別をも可能にする。
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