研究課題
アカネ科植物サツマイナモリOphiorrhiza Japonicaの含有アルカロイドLyalosideについて合成研究を行い、提出されていた構造を最終的に確定した。同属植物チャボイナモリOphiorrhiza pumilaは強力な制癌物質カンプトテシンならびに関連アルカロイド多数を含有する。ドイツ・マインツ大学でこの植物の組織培養に成功した。培養株の一部を千葉大学に移し日本、ドイツ両国で同時に細胞増殖を行なった。得られた細胞塊について精密な含有成分検索を行なった結果アントラキノン類5種、ステロール1種の存在を明かにすることができた。引き続き含窒素化合物の追及を行なっている。一方細胞培養の次の段階として懸濁細胞培養の研究が、主としてドイツ・マインツ大学の研究チームによって行われた。現在初期的条件の確立が終り、培養条件の最適化、アルカロイド生産株の選別についての試みがなされている。キョウチクトウ科の二植物Rauwolfia serpentina、Rhazya strictdのプロトプラスト融合細胞について、懸濁培養がドイツ・マインツに於いて行われた。その試料について代謝産物の追及を行なった結果、モノテルペン系インドールアルカロイドの16(R)-18、19-E-Isositosirikineと5(S)-5-Carbomethoxystrictosidine、3種のβ-カルボリン誘導体、β-Carboline、1-Acetyl-β-Carboline、1-Carbomethoxy-β-carboline、の単離に成功した。この実験により融合細胞が原植物の持つアルカロイド生産機能を発現し得ることが証明された。Ajmaline負荷条件下Rauwolfia serpentinaの懸濁細胞培養を行うとき多種の新規アルカロイド類の生産が可能となる。今回更にもう一種の新物質仮称Alkalid Gの単離に成功した。その構造はAjmalineからの化学誘導によって確認された。
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