南シナ海域周縁の海洋底地殻構造発達史 地球物理的探査

1992 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 04044043
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 木下 肇 東京大学, 地震研究所, 教授 (10110347)
• 研究分担者: りゅう 昭蜀 中国南海海洋研究所, 教授 ; 孫 玉科 中国南海海洋研究所, 教授 ; 姜 しょー仁 中国南海海洋研究所, 教授 ; 夏 戡原 中国南海海洋研究所, 教授 ; 藤岡 換太郎 海洋科学技術センター, 研究主官 ; 周 蒂 中国南海海洋研究所, 助教授 ; 大内 徹 神戸大学, 理学部, 助手 (50116191) ; 木下 正高 東海大学, 海洋学部, 講師 (50225009) ; りゅう 帝光 中国南海海洋研究所, 助手 ; 上田 誠也 テキサスA&M大学, 東海大学・海洋学部, 教授 (60011459) ; 加賀美 英雄 城西大学, 理学部, 教授 (50013561) ; 徳山 英一 東京大学, 海洋研究所, 助手 (10107451) ; 藤本 博己 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (50107455) ; 玉木 賢策 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (50188421) ; 平田 直 千葉大学, 理学部, 助教授 (90156670) ; T W C Hilde テキサスA&M大学, 教授 ; 伊勢崎 修弘 千葉大学, 理学部, 教授 (60107943) ; 是沢 定之 東京大学, 地震研究所, 助手 (80012946) ; 山野 誠 東京大学, 地震研究所, 助手 (60191368) ; 瀬野 徹三 東京大学, 地震研究所, 助教授 (10216567) ; 笠原 順三 東京大学, 地震研究所, 教授 (70012953)
• キーワード: 南シナ海域 / 地殻構造 / 海洋性地殻 / 受動的縁辺 / 大陸地殻 / 地震波速度構造探査 / 地磁気探査 / 重力探査

研究概要

南シナ海域の地殻構造に関する公表・未公表の資料を検討した。南シナ海は太平洋の最西縁にある海盆で、中国大陸縁辺部と接している。その形成過程には、まだ定説がないが、一説によれば、漸新世中期から中新世初期に南北に拡大を始め、約2千万年前に拡大方向を北西-南東に変えたとされている。
南シナ海の中央部に、海洋性地殻の存在することは、地震学的データ及び地磁気異常のデータからほぼ確かである。従って、海洋性地殻と中国大陸の地殻の境界域の構造が、この地域の構造発達史を理解するために特に重要であることがわかった。
一方、南シナ海の北縁は、受動的縁辺として、大陸地殻が引き延ばされている地域である。近年の受動的縁辺での研究によれば、大陸の薄化からリフト、さらには海洋底の形成の過程で、大規模な火成活動が起こった可能性が高い。しかし、この活動は、リフト形成時のマントルの温度によって、生じたり生じなかったりするらしい。本研究調査域で、こうした火成活動の有無を明らかにすることは、西部太平洋のリソスフェアのダイナミクスを理解する上で重要であることが分かった。
火成活動の有無は、特に下部地域の地震波速度の異常にあらわれる。これまでの研究結果を検討した結果、東部南シナ海の大陸-海洋境界域の一部には地震波の高速度域が存在する可能性が高い。これらの知見は、中国南海海洋研究所に於ける討論の結果と、中国側から提供されたデータの検討によって得られた。
平成5年度に計画されている、地震波速度構造探査、地磁気探査、及び動力探査は、以上の研究の成果を基に実行される予定である。

研究成果

• [文献書誌] 木下 肇: "Seismic strucutre of the Japan and its tectonic implications" J.Geomag.Geoelectr.45. (1993)
• [文献書誌] 笠原 順三: "プロトタイプ海底総合地球物理観測装置とマリアナトラフにおける予備調査" 月刊海洋. 24. 413-422 (1992)
• [文献書誌] 瀬野 徹三: "フィリッピン海プレートの運動の研究史" 号外月刊地球. 5. 46-50 (1992)
• [文献書誌] 徳山 英一: "Initiation of ophiolite emplaement: a modern example from Okusiri Ridge" Marine Geology. 103. 323-334 (1992)
• [文献書誌] 平田 直: "Oceanic Crust in the Japan Basin of the Japan Sea" Geophysical Research Letters. 19. 2027-2030 (1992)
• [文献書誌] 藤岡 換太郎: "Correction of Quaternary tephras throughout the Izu-Bonin areas" Proc.ODP,Sci.Results,TX(Ocean Drilling Program). 126. 23-45 (1992)