研究分担者 |
木下 肇 東京大学, 地震研究所, 教授 (10110347)
芦 寿一郎 東京大学, 大学院理学系研究科, 助手 (40251409)
篠原 雅尚 千葉大学, 理学部, 助教授 (90242172)
中西 正男 東京大学, 海洋研究所, 助手 (80222165)
蒲生 俊敬 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (70143550)
徳山 英一 東京大学, 海洋研究所, 助手 (10107451)
藤本 博巳 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (50107455)
玉木 賢策 東京大学, 海洋研究所, 教授 (50188421)
瀬川 爾朗 東京大学, 海洋研究所, 教授 (60013570)
末広 潔 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (20133928)
島村 英紀 北海道大学, 理学部, 教授 (10011636)
斉藤 常正 東北大学, 理学部, 教授 (90111335)
岡田 尚武 山形大学, 理学部, 教授 (80111334)
伊勢崎 修弘 千葉大学, 理学部, 教授 (60107943)
山野 誠 東京大学, 地震研究所, 助手 (60191368)
金澤 敏彦 東京大学, 理学部, 助教授 (30114698)
岡田 誠 茨城大学, 理学部, 助手 (00250978)
笠原 順三 東京大学, 地震研究所, 教授 (70012953)
平田 直 東京大学, 地震研究所, 助教授 (90156670)
氏家 宏 琉球大学, 理学部, 教授 (60000113)
鳥海 光弘 東京大学, 理学部, 教授 (10013757)
小川 勇二郎 筑波大学, 地球科学系, 教授 (20060064)
濱野 洋三 東京大学, 理学部, 教授 (90011709)
佐藤 時幸 秋田大学, 鉱山学部, 助教授 (60241668)
小泉 格 北海道大学, 理学部, 教授 (20029721)
長尾 年恭 金沢大学, 理学部, 助手 (20183890)
鎮西 清高 京都大学, 理学部, 教授 (70011517)
巽 好幸 京都大学, 総合人間学部, 助教授 (40171722)
小竹 信宏 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (00205402)
徐 垣 九州大学, 理学部, 助教授 (90183847)
上田 誠也 東海大学, 海洋学部, 教授 (60011459)
奥田 義久 工業技術院地質調査所, 海洋地質部, 課長
岡田 博有 九州大学, 理学部, 教授 (60037182)
加賀美 英雄 城西大学, 理学部, 教授 (50013561)
小澤 大成 鳴門教育大学, 自然系, 助手 (60253241)
新井田 清信 北海道大学, 理学部, 講師 (30111149)
中尾 征三 工業技術院地質調査所, 海洋地質部, 部長
根本 直樹 弘前大学, 理学部, 助手 (20208292)
藤井 直之 名古屋大学, 理学部, 教授 (60011631)
斎藤 文紀 工業技術院地質調査所, 海洋地質部, 主任研究官
平澤 朋郎 東北大学, 理学部, 教授 (80011568)
脇田 宏 東京大学, 理学部, 教授 (40011689)
高橋 孝三 北海道東海大学, 工学部, 教授 (30244875)
伊藤 久男 工業技術院地質調査所, 地殻熱部, 主任研究官
野木 義史 気象庁気象研究所, 地球化学研究部, 研究官
石塚 英男 高知大学, 理学部, 助教授 (00142349)
藤林 紀枝 新潟大学, 教育学部, 助手 (20238603)
谷村 好洋 国立科学博物館分館, 地学研究部, 室長 (80141985)
半田 暢彦 名古屋大学, 大気水圏科学研究所, 教授 (00022559)
OKUDA Hisato Geological Survey of Japan
SATO Takaharu Niigata Univ. (90196246)
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研究概要 |
本年度は大西洋において掘削を行ないテクトニクス,海洋古環境,海洋地殻構造などの研究を行ない多くの成果をあげた.イベリア半島沖およびグリーンランド沖では大西洋分裂時のテクトニクスと火成活動の関係そして大陸地殻から海洋地殻の漸移帯の構造が研究された.この結果,イベリア半島沖では漸移帯にマントル起源の超塩基性岩が露出しており大陸分裂時にマントルまで横切る断層が形成されることが始めて示された.またグリーンランド沖では分裂直前に隆起運動が起こり,多量の玄武岩溶岩が噴出,その後急速な沈降そして海洋底の拡大に以降したことが始めて解明された.これは大陸の分裂がマントルの上昇流の活動によって引き起こされることを始めて証明した画期的な成果である. ニュージャージー沖では掘削により大陸斜面の堆積層の構成と年代を精査し,それぞれの地層の岩相が海水面の変動によって変化していること,さらに温室状態の地球から氷床の発達まで海面変動の歴史を編年した.掘削はさらに極域北大西洋におよびここで新生代の北極海と大西洋の連結による海洋環境の変動と氷床の発達の歴史を研究した.その結果250万年前に氷床が発達してきたことがわかった. 大西洋中央海嶺の掘削では海洋地殻下部の深成岩を採集することに成功し,とくにその中の変形構造を明かにできたのは大きな成果であった. 各パネル会議や研究打ち合わせにおいては成果の検討,今後の方針,将来計画などについて活発に討議がなされた.これまでの成果としてはマントル対流が大陸の分裂や海台の形成そして白亜紀の温暖化や海面上昇の原動力となっていることが明かになったことがまずあげられる.さらに海洋地殻の構造の研究にも大きな進歩があった.とくに海洋地殻の深部を構成するハンレイ岩や超塩基性岩の採集に成功した.その結果海洋地殻が誕生する現場である中央海嶺において従来考えられていたよりさらに複雑なテクトニクスが進行しており,その拡大様式には大陸の分裂時にみられる水平滑り面を伴った非対称型が存在することもわかってきた.このような現象は大西洋だけでなく日本海など背弧海盆の形成にとっても大きな示唆を与えるものである.また海洋古環境の研究においてはグリーンランド氷床の発達が700万年に遡ること,さらに大規模な北半球氷床は250万年前から発達したことが明らかになった.さらにグリーンランド氷床における掘削データと海底の掘削データを比較することができ,0.7〜2万年オーダーさらに0.1〜0.2万年オーダーの気候変動(極大気と海洋表層の5度にわたる温度変化)が過去10万年に何回も存在したことがわかった.これはいままでの氷期一間氷期の気候変動に関するイメージを一変させるものである.現在このような北大西洋の変動が太平洋海域にどのような影響を及ぼしたのか従来の掘削データの見直しやあらたな試料の解析が進行中である. これらの掘削航海でもたらされたサンプルやデータは岩石学,堆積学,地球化学,古生物学,古地磁気学,地球物理学などの立場から各国と共同で解析がすすんでおり,また成果の一部は論文となり公表されている.また微化石の試料保管センターを各国と共同で運営し,活発な標本の交換が行なわれた. 将来計画についてはとくに京都で全体会議を行ない深部掘削や孔内観測ステーションの重要性が確認された.日本からは孔内地震計による地球内部トモグラフィー,マントル対流,海洋地殻,古環境,地磁気変動を組み合わせ地球の構造と進化を総合的に研究するプログラムが提示され各国と意見が交換された.また国内では1997〜98年にかけて計画中の日本列島周辺掘削にむけて計画内容の立案に取り組むこととなった.
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