研究分担者 |
横田 崇 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (50134622)
新井 直子 DNAX分子細胞生物学研究所, 副部長
DEVRIES Jan DNAX分子細胞生物学研究所, 部長
OSTERTAG Wol ハンブルグ大学, HeinrichPette研究所, 教授
宮島 篤 DNAX分子細胞生物学研究所, 主任研究員
|
研究概要 |
1.T細胞におけるリンホカイン遺伝子活性化にはカルシウムとPMAシグナルが関与する。両シグナルに応答するGM-CSFプロモーターのcis調節領域としてこれまでにDNAX研究所の新井直子博士との共同研究によりCLE2/GC-boxおよびCLE0を同定したが、HTLV-ITAXによるGM-CSFプロモーターの活性化にはCLE2/GC-boxのみで充分であり、CLE0は必須でないことから両者の活性化機構が異なることを示した。HTLV-I TAXに応答にするIL-3プロモーターのCT/GC richエレメントをプローブとしてDNA結合蛋白質cDNAをSouthwestern法によりスクリーニングし、EGR1,2に加えてZincフィンガーモチーフを持つ新規クローンDB1を単離、同定した。これらのZincフィンガー蛋白質はIL-3プロモーターを上流配列および刺激依存的に活性化した。さらにIL-5プロモーターはマウス胸腺細胞腫EL-4においてcAMPとPMAの二種類のシグナルの共同によって50倍以上活性化されることを明らかにし、cAMPとPMAに応答するIL-5プロモーターのcis調節領域を同定した。cAMPは対照的にPMA刺激により活性化されるIL-2,GM-CSF,IL-4,IL-10遺伝子の発現を強く抑制する。これまでIL-5プロモーター活性化シグナルは不明であったが、PMAとカルシウムシグナルと共にPKAを通したシグナルがT細胞活性化の制御に関与することを示した。これらの研究成果は新井直子博士との国際共同研究を通して達成されたものである。 2.DNAX研究所の宮島篤博士との共同研究により血液幹細胞の増殖、生存、分化に重要な役割を果たしているヒト高親和性GM-CSFレセプターはα鎖、β鎖よりなり、そのシグナル伝達にはチロシンキナーゼが関与していることが明かとなった。さらに宮島博士との国際共同研究を進め、ヒトGM-CSFレセプターα、β鎖のcDNAをマウスNIH3T3線維芽細胞およびproB細胞であるBAF/3に共発現しそのシグナル伝達について以下の事実を明らかにした。再構成GM-CSFレセプターはGM-CSFに依存してNIH3T3においてもBAF/3細胞と同様に細胞内チロシン残基リン酸化、c-fos,c-jun,c-mycなどの初期応答遺伝子活性化、DNA合成、細胞増殖に至るシグナルを伝達する。したがってGM-CSFレセプターのシグナル伝達には血球細胞に特異的因子は必須ではない。またシグナル伝達にはα鎖、β両鎖が必要とされ、β鎖においてc-fos,c-jun遺伝子活性化に関与する領域はc-myc遺伝子活性化とDNA合成誘導に関与する領域とは区別される。Hamburg大学Ostertag教授とはES細胞での発現ベクターと遺伝子導入法の検討、因子依存性赤芽球白血病細胞株TF-1のGM-CSFレセプターシグナル伝達変異株の解析を行った。
|