研究課題/領域番号 |
04044062
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
小田 俊理 東京工業大学, 工学部, 助教授 (50126314)
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研究分担者 |
MILNE Willia ケンブリッジ大学, 工学部, 上級講師
MOORE David ケンブリッジ大学, 工学部, 講師
座間 秀昭 東京工業大学, 工学部, 助手 (50206033)
杉浦 修 東京工業大学, 工学部, 助教授 (10187643)
松村 正清 東京工業大学, 工学部, 教授 (30110729)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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キーワード | 超高速デバイス / 超伝導デバイス / 極微細加工プロセス / 電子ビーム露光技術 / 超薄膜結晶成長 / 量子効果デバイス |
研究概要 |
1.超伝導超薄膜微細構造デバイスの設計と製作 東京工業大学の小田、座間とケンブリッジ大学のム-アは共同で超伝導デバイスの研究を行った。小田らは、有機金属気相成長法(MOCVD法)を用いて、500℃という低温でYBaCuO系超伝導薄膜の堆積に成功した。さらに、厚さ10nm以下の超伝導超薄膜の開発に成功し、3分子層(厚さ3.6nm)から超伝導オンセット特性が観測され、4分子層(厚さ4.8nm)ではゼロ抵抗温度が30Kの薄膜、厚さ10nmでは臨界温度80Kを得た。薄膜の最表面と基板側界面第1層は超伝導電流パスが安定に存在できないことが知られていることを考慮すると、YBaCuOは実効的に1分子層で超伝導電流が流れていることを意味している。このことは、本研究で開発したMOCVD法によるYBaCuO薄膜が世界最高水準の高品質薄膜である事を示している。さらに、原子層毎に制御して結晶成長を行うことにより、表面マイグレーションを促進する事を見出しており、原子間力顕微鏡観察により10μm角の視野に於いて表面の平滑性が±1分子層以下という従来にない極めて平滑なデバイスグレード薄膜を作製することが出来た。また、光リソグラフィ技術により微細加工した超伝導薄膜の電気特性の評価から臨界電流密度は低温では10^7Acm^<-2>を越える高品質膜であることが分った。ム-アらは、YBaCuO膜に350KeVの電子ビーム照射を行いジョセフソン接合を形成し、臨界電流の磁場依存性から接合は均一に形成されていることを見出した。 2.シリコン超薄膜超微細構造デバイス (1)シリコン原子層エピタキシ- 東京工業大学の松村と杉浦は、ジクロロシランと水素ラジカルを交互供給することにより、1サイクル当り1原子層という理想的なシリコンの原子層エピタキシ-を実現した。さらに、有機ゲルマンと水素ラジカルの組合せにより、ゲルマニウムの原子層エピタキシ-にも世界で初めて成功した。これらの技術を応用して、IV族ヘテロ原子層エピタキシ-の実現に取り組んでいる。 (2)シリコントレンチ酸化膜量子細線の作製と特性評価 東京工業大学の小田は、シリコン量子細線構造デバイスとしてトレンチ酸化膜構造を提案した。まず、スーパーコンピュータを用いて、MOS反転層とトレンチ酸化膜によりどの程度の領域に電子を閉じ込めることが出来るかをシミュレーションして、容量電圧特性により量子効果を確認できることを推定した。次いで、電子ビーム露光、ECR反応性イオンエッチングによりトレンチ酸化膜MOS構造を作製し、28nm線幅のトレンチ構造で0.5Kの極低温下に於いて量子効果とみられる容量電圧特性の構造を確認した。 (3)ディジタルCVD法によるナノクリスタルシリコンの作製 東京工業大学の小田は、シリコン量子ドット構造の形成を目的として、微結晶シリコンの形成過程を、核形成,膜堆積、結晶成長、未結合手不活性化、ポテンシャル障壁形成、粒径制御の各ステップに分離したパルスプラズマプロセスを提案した。実験の結果、核形成、結晶成長に水素ラジカルが重要な役割を果すことを見出した。また、有効なポテンシャル障壁の形成のために微結晶シリコンの周囲のアモルファスシリコンを選択的にエッチングを行うのに水素ラジカルが有効であることを見出した。 (4)シリコン薄膜トランジスタ 東京工業大学の松村とケンブリッジ大学のミルンはアモルファスおよび多結晶シリコンを用いた高性能薄膜トランジスタの研究を行い、信頼性の改善、高集積回路への応用、神経網回路への応用を検討した。さらに、ミルンは、プラズマアーク法を用いて、4配位ダイアモンド薄膜の堆積に成功した。 (5)超高分解能電子ビーム露光による電界放射3端子デバイス ケンブリッジ大学のム-アは、窒化シリコン上のタングステン薄膜を電子ビームにより直接加工を行い、100V以下で動作する電界放射3端子デバイスの動作を確認した。
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