研究分担者 |
APORTADERA L ダバオ医科大学, 助教授
DE la Cruz H ダバオ医科大学, 教授
VICENTE Warl ダバオ医科大学, 助教授
PAGULAYAN Im フィリピン大学, 理学部, 教授
LASTIMOSA Hi フィリピン大学, 理学部, 教授
SIN Ramon L. サントトマス大学, 医学部, 教授
TORRALBA Tit サントトマス大学, 医学部, 教授
SEVILLA Fort サントトマス大学, 理学部, 教授
DAYAO Virgin サントトマス大学, 理学部, 教授
KANAPI Carme サントトマス大学, 理学部, 教授
宗像 英輔 筑波大学, 応用生物化学系, 教授 (60072766)
間野 忠明 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (30023659)
出浦 滋之 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (40021448)
森 昭胤 岡山大学, 医学部, 教授 (20028434)
山本 典子 岐阜大学, 医療技術短期大学部, 教授 (70021409)
荒木 陽子 岐阜大学, 医学部, 助手 (20176374)
李 憲 岐阜大学, 医学部, 助教授 (00212316)
PAGULAYAN Imelda f. Institute of Biology, College of Science, University of the Philippines
LASTIMOSA Hilda d. Department of Biological Sciences, Cebu College, University of the Phylippines
DE LA CRUZ Honorio e. Department of Pediatrics, Davao Medical School Foundation
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研究概要 |
電気生理学的方法により,アフリカマイマイ(Achatina fulica Ferussac)巨大神経細胞に対する神経作用性ペプチドの作用を検定し,この仕事を集大成して報告した.この軟体動物神経細胞は,哺乳動物で神経伝達物質と考えられるペプチド(substance P,Met-enkephalin,neurotensinなど)には,oxytocinを例外として感受性がなく,一方無脊椎動物から分離されたペプチドの多くに感受性を示した.この事実は,dopamine,serotonin,GABAなどの小分子神経伝達物質候補の場合と異なっており,神経作用性ペプチドの場合,かなり狭い範囲の動物種が同一の物質を神経伝達物質にしていると考えられる.アフリカマイマイ巨大神経細胞が感受性を示した神経作用性ペプチドは,次の通りである.先に記したように,Achatin-I(Gly-D-Phe-Ala-Asp)は,私どもと(財)サントリ-生有研およびサントトマス大学の共同研究によりAchatina神経節より分離されたペプチドであり,これはAchatina巨大神経細胞の半数近くに興奮作用を示した.APGW-amide(Ala-Pro-Gly-Trp-NH_2)も私たちにより,Achatina神経節より分離されており,これはAchatina巨大神経細胞の半数近くに抑制作用を示した.この2つのペプチドは,これら神経細胞の神経伝達物質と考えられる.他にAchatina cardio-excitatory-peptide-1(ACEP-1)(Ser-Gly-Gln-Ser-Trp-Arg-Pro-Gln-Gly-Arg-Phe-NH_2),fulicin(Phe-D-Asn-Gln-Phe-Val-NH_2)が,他のグループによりAchatina神経節から分離されたが,私たちは,ACEP-1がいくつかの巨大神経細胞に興奮作用を示すこと,fulicinが抑制作用を示すことを証明した.そのほか先にアサリから分離されたFMRFamide(Phe-Met-Arg-Phe-NH_2)およびその関連物質でカイチュウから分離されたAF1(Lys-Asn-Glu-Phe-Ile-Arg-Phe-NH_2)がAchatina巨大神経細胞に抑制作用を示すこと,またイガイから分離された[Ser^2]-Mytilus inh
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ibitory peptide([Ser^2]-MIP)(Gly-Ser-Pro-Met-Phe-Val-NH_2)もこれらの神経細胞に抑制作用を示すことを証明した. Achatin-Iの興奮作用,fulicinの抑制作用の細胞内情報伝達機構を,電気生理学的な指標の下に,情報伝達機構の抑制物質を用いて検討した.Achatin-Iの興奮作用は,H-89(protein kinase(PK)A inhibitor)ならびにW-7(calmodulin inhibitor)により抑制され,IBMX(cyclic AMP phosphodiesterase inhibitor)により軽度に増強された.この興奮作用は,KT-5823(PKG inhibitor),calphostin C(PKC inhibitor),ML-9(myosin light-chain kinase inhibitor),genestin(tyrosine kinase inhibitor),indomethacin(prostaglandin cyclooxygenese inhibitor),flophenazine n-mustard(calmodulin-dependent phosphodiesterase inhibitor),okadaic acid(PP-1,2A class protein phosphatase inhibitor),calyculin A(PP-1 class protein phosphatase inhibitor)により影響されなかった.これらの結果より,achatin-Iの興奮作用は,cyclic AMP-PKA系により発現し,これにcalmodulinが関与していると考えられる.これに対してfulicinの抑制作用は,KT-5823,calphostinC,W-7,IBMXにより抑制され,H-89,ML-9,fluphenazine N-mustard,okadaic acid,calyculin Aにより影響されなかった.これらの結果より,fulicinの抑制作用は,cyclic AMP-PKA系によらず,cyclic GMP-PKG系および(あるいは)IP_3,DG-PKC系により発現し,これにcalmodulinが関与すると考えられる.現在のところ,IBMXの作用は説明できない. 先にachatin-Iが興奮性神経伝達物質であると同時に,このペプチドが薄い濃度で,5-hydroxytryptamine,FMRFamideの作用を増強させ,またAPGW-amide,oxytocinの作用を抑制することにより,神経修飾物質としても働いていると報告した.APGW-amideはAchatina神経細胞に対して,抑制性神経伝達物質として働いていると同時に,神経修飾物質としても働いていることを今回証明した.APGW-amideが神経修飾を行う神経伝達物質候補の種類は,achatin-Iの場合と同じではない.またAPGW-amideの直接作用はachatin-Iの場合と反対に抑制作用であるが,その神経修飾作用がachatin-Iの逆と云うことでもない. 隠す
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